教室リフォームを実践するための10のこと。 204
10月9日にみんなの職員室主催の岩瀬直樹先生のオンライン講座を受講した。
テーマは、タイトルの通り。
今年度、クラスで教室リフォームを実践している自分としては、以前からとてもとても参加したかった講座だった。
前回の第一回は8月だったので、あれから2か月ということになる。
前回の講座では、いわば、教室リフォームを実践するにあたっての教師の「在り方」に近い部分が中心だった。
共同修正、プロトタイプ思考、自由の相互承認…。
これらの在り方を踏まえて、この2か月がどうだったのか、実践をふり返り、飛躍させるためにも非常に重要な講座であると位置づけていた。
第二回となる今回は、前回からより具体的実践に踏み込んだ話が聞けた。
「教室リフォームを実践するための10のこと」(実際には9つだった)は、それぞれが非常に重要な観点で、それはそのまま自分の実践のリフレクションに対する視点にもなった。
いかに、9つのポイントをまとめておく。
①任せる範囲を決める
②イメージを広げる
③ゾーニングの視点を持つ
④小さくはじめる(のも大事)
⑤一緒にやる(協働探求者)
⑥やってみてから考える(プロトタイプ思考)
⑦ユーモア大事
⑧まず自分でやってみる
⑨教室は探求材
①任せる範囲を決める
壁面からやるのか?今あるものからやるのか?それとも教室全体を使って大胆に変えるのか?
あらかじめ範囲を決めておくことで、いざやり始めて作ってから「そこはちょっと…」「いや、それはさすがに…」などといって、 教師の都合で子どもたちの「やりたい」をそいでしまわないようにすることができる。
自分のクラスではどうか。
…最初に範囲とか決めてない 笑
でも、基本的に何が来ても受け止めて「どうすれば実現可能か」という視点で考えていこうと思っているので、現状で困り感はない。
しかし、今後、また新たにプロジェクトを立ち上げるときには、意識しておくことで、子どもたちも心置きなく活動できるだろうなとは思った。
今後、「それはちょっと…」ということがでてきたときは、子どもたちと話し合って最適解を探していこう。
②イメージを広げる
いきなりリフォームと聞いても、おそらくピンとこないのが子どもたち。だから、いろんな教室の写真を見せることで、子どもたちのリフォームへの思考を広げる。
本や写真、海外の教室など、探せば色々ある。
自分のクラスでも、これは行なった。
子どもたちは、次々に出て来る既存の教室イメージとは違う教室に目を輝かせていた。
実際、それらを見てイメージを広げることで、今までは思いつかなかったアイデアが出てきた子たちもいた。
ただ、どういうものを見せるかによって、出てくるアイデアが偏ったり、あまりに現実的に実現可能性が疑わしいものに固執してしまったりという負の面もあるのかもしれないので、見せるイメージも「作る教室の理想形」ではなく、あくまで「アイデアを作る」という側面から選択していけたらいいのかなと思った。
面白かったのが、岩瀬先生ご自身がリフォームプロジェクトをされていて、よく百均で使えそうだと感じたものを適当に2000円分ぐらい買ってきて教室に置いておくというエピソード。
そうすると、子どもたちは、勝手にそれらの素材を使って、教室リフォームを進めていくのだそうだ。
作りたいものを決めて、そのためには何がどれだけ必要かなと考えていくのもいいけれど、こうして先に材料があって、そこからどんなことができるかなというのも面白いなと思った。
決まっている素材という制限が工夫や新しいアイデアなどの創造性を生むことになるのかもしれない。
③ゾーニングの視点を持つ
図書コーナー、文具コーナー、ミーティングエリアなどの〇〇コーナーみたいなものを意識する事だとざっくりと理解している。
都市計画や建築プランなどで、空間を用途別に分けて配置すること。
とあった。
自分のクラスでは、ソファーエリアの一か所がかなりのスペースを使っているので、ここからさらに別のスペースをというのは難しいかもしれない。
しかし、何も大きなスペースである必要はないわけで、ロッカーの上の30㎝四方のスペースだって、うまく使えば有効利用できる可能性が十分にある。
サイズではなく、そういう視点で教室を見るのも「ゾーニング」の視点と言えるのかもしれない。
今後のリフォームプロジェクトで、限られたスペースをうまく利用していくためには欠かせない視点だなあと思った。
この視点は、教師だけではなく、子どもたち一人一人が持っていると、面白いアイデアが色々出てきそうだなと思った。
④小さくはじめる(のも大事)
今のクラスでは、最初から壮大に始めたので、なかなかこういう視点でリフォームを見れていなかったなあと反省。
そして、ここが結構自分的には目からうろこが落ちる思いだった。
たとえば、1学期の始業式には、各担任が準備して貼っているような靴箱の名前シールだって、わざわざ貼らず、子どもたちから必要性が出てきたら、貼らせるということもできる。
なるほどなあと思った。
こんなところにも「当たり前の罠」が潜んでいた。
そう考えれば、掃除当番表や給食当番表なんかもそうかもしれない。
わざわざ最初からすべて作ってお膳立てせずとも、こどもたちはきっと必要になれば動く。クラスの子の顔を思い浮かべてみると、「え、それやったら作ろうや!」という想像がすぐにできる。
大事なのは、「自分たちで発案して動くこと」
そうしたことの全ては、「当事者意識」になっていく。
そして、学びのコントローラーを自分で握り始めるのだろう。
これまでのお話ともつながり、すごく参考になった。
⑤一緒にやる(共同探求者)
先生も楽しんでやることで、よりよいモデルを見せていくことにもなる。
一緒になって、面白がって変えていく。
この視点、全く逆に近いことを思っていたので、驚いた。
私は、「自分が積極的にリフォームに参入することで、このリフォームが自分色になって行ってしまうのではないか。それだと、結局子どもたちの主体性を殺してしまうことにならないか。」と思っていた。
だから、最初は、やり方もわからないだろうし、着火剤としての働きも意識して、割と積極的に動いた。
でも、それ以降は、割と横でにこにこしながら見てる感じが多い。
子どもたちの様子を見ながら、「ああ、あそここうしたいなあ」という欲求がむくむくと湧き上がってきたりもする。
そうか、その欲求は別に抑えなくていいのか。
自分は自分で、同じ教室で過ごす一員としてリフォームに携わればいいのか。
すごくわくわくした。
担任としてのリフォームのかかわり方を見つめ直すいい視点を手に入れられた。
⑥やってみてから考える(プロトタイプ思考)
これは、リフォームを始めてから、すごく実感を伴って大切だと共感した視点だった。
うちのクラスのソファなんかまさにそうだ。
作り始めた時は、まさかこんなにでかくなるなんて思ってなかった。
でも、とにかくわからないけど、作り始めると、「こうすればいいんじゃない?」というアイデアがどんどん出てくるので、それをみんなで検討しながら、進めていったら今のような形にたどり着いた。
あーだこーだ考える前に、やってみる!
これがなかなかの威力!
そして、失敗も山ほどするけど、それが結構楽しいからどんどんチャレンジしてしまう。
これからもリフォームに限らず、大事にしたい考え方だ。
⑦ユーモア大事
なんかよくわからないものでも面白がれるかどうか。
これは、ものすごく得意。
むしろ、よく分からないものの方にこそ、魅力を感じてしまったりするから。
「無駄」を楽しむ余裕や余白って本当に大事だと思う。
そこから本当に輝くアイデアが形になったりすると思うから。
⑧まず自分でやってみる
教師自身が、作り手としての楽しさを味わうことの大切さ。
そして、そんなわくわくしてる教師を見て、子どもたちもわくわくする。
こういう前向きな楽しもうって雰囲気は、周りにも伝染する。
この視点も忘れないで持っていたい。
⑨教室は探求材!
ここでは、教室リフォームはそれ自体が立派な探求材だから、もう総合的な学習の時間にプロジェクトとしてがっつり組み込んでやっていけばいいという提言だった。
自分のクラスでは、基本的に授業では扱ってなかったし、そういう意識がなくて、新鮮な感覚だった。
次やるときは、そんな風に単元として位置づけることも視野に入れてやってみようかなと思う。
でも、そうなると、評価が入ってくるわけで、そのあたりどうしてるんだろうなんて後で思ったりした。あと、「リフォームに興味がない」って子も実際いるわけで、そういう子も含めての居心地の良さを追求していく難しさなんてのも同時にあるよなあなんて思ったりして。
でも、これらの9つの視点のおかげで、かなり自分の実践の足りてない部分や、今後改善可能な具体的方策などが見えて、本当に濃密な1時間になった。
岩瀬先生だけではなく、参加者の他の実践者の先生方と意見交換できたのも良かった。
ソファづくりがほぼ完成し、リフォームが落ち着いてきた今のクラス。
ここから、居心地は本当に今のままでベストなのか?という問いを投げかけ、ここからさらに次の段階として教室がどうあればいいか、もっと深く深く子どもたちと共に作りながら考えていけたらいいなと思う。
長っ!!