4冊目「『できるクラス』の育て方」 247
今年度4冊目の読了はこちら。
著者は、現役小学校教員の山田さんとプロビジネスコーチの吉田さん。
コーチングを活かしたクラスのつくり方についての一冊。
自分自身の学級経営を見直したときに、今まで以上にもっとコーチングのスキルを活かしてこれからのクラスづくりをしていきたいと思い、コーチングについての理解を深めるという意味でもぴったりな一冊だと思って読むことにした。
教員は、とにかく「教える」ことが好きで、それは自分にも当てはまる。
でもぼくたちは教えてしまうことで奪ってしまっているものにもっと目を向けるべきだと思う。
そこで、「教える」を手放して、「質問」をうまくつないでいくことで、子どもたちから持っているものを引き出し、子どもたち自身が自分の思考を整理できるように促していくのがコーチングの基本スタイルとなる。
「答えは相手が持っている」と考えるのがコーチングの大原則だからだ。
それは、「子どもは未熟で、だからこそぼくたち大人が教えてあげなければいけない」と考える従来の教育観から、「子どもたちは本来有能である。ただ、その引き出し方を知らないだけ。
だから、うまく自分自身で引き出せるようにサポートしていく」という教育観への転換を意味する。
コーチングをただスキルとして使えばそれでOKなのではなく、コーチングを活かそうとする自分の教育観自体もしっかりとアップデートしなければその効果は半減するだろうなあと思った。
よく子どもたちに聞くときに、「なぜ?」と理由を聞いてしまう癖があるが、場面によっては、「なぜ」は圧迫感を生んでしまうそうだ。
だから、「なぜできないの?」ではなく、「何があったの?」と少し変えるだけで、受け取る印象が違って、子どもたちは安心して話してくれるようになる。
また、本書の序盤では、「承認」の重要性が何度も書かれている。
自分自身も最近特に、この「承認」の重要性を感じることが多い。
転勤してきて、新たに先生たちと信頼関係を築いていく中でも承認を積極的にしていくことで、コミュニケーションがうまく取れるなと実感している。
子どもたちも同じで、承認が積み重なるほど、安心安全な教室が広がっていき、だからこそチャレンジにも踏み出せるようになるんだと思う。
ドーパミンは人のモチベーションに関わる物質である。
このことからも承認が非常に重要であることが分かる。
承認する際には、YOUメッセージ(あなたはすごいね!)とIメッセージ(〇〇してくれて、私はうれしい!)があるという。
自分は普段YOUメッセージが強いなあとふり返って思った。
これって、やりすぎると、先生からの評価がないと頑張れない子(先生からの評価依存)になってしまう可能性もあるなあと思った。
だから、Iメッセージも積極的に意識して使っていくことで、子どもたちが素直に自己肯定感を上げていけるように、バランスを心がけたいと思った。
そして、承認は、教師から子どもへのベクトルだけのものではない。
積極的に子どもたち同士が承認できるような場面を積極的に仕掛けていく必要がある。
クラスでの話し合いで最終的に多数決を取る場面がよくある。
でも、その時、なかなかうまく決まらなかったり、納得感が低かったりすることがあり、そこは問題だと感じてきた。
(もちろん、多数決でない決め方もまず選択肢として取り組んだ上で)
本書に書かれていた「手を挙げる回数を増やす」のは、シンプルでとても効果的な方法だなあと思った。
例えば、6つの中から2つ決めるとき、決める数の倍の4回手を挙げてもらう、3つの中から1つ決めるとき、決める数の倍の2回手を挙げてもらうといったやり方だ。
少しの工夫で、子どもたち一人一人が「自分で選んだ」という実感を持たせることができる可能性が高まるのでとてもいいと思った。
また、子どもたちにうまくいかないことや悩み事がある際に、活用できるスキルとして「スケーリング(計測)」もとても有効だと思った。
そのままでは見えない現状を一旦自分の感覚でいいからスケーリングして数値化することで、理想とのギャップがどれくらいなのかを何となくイメージし、手立てにつなげることができるからだ。
このスケーリングを活かすことで、様々な場面で、子どもたちが自分の現在地を把握し、そこから次の一手を自分で見つける手助けができると思った。
スケーリングの汎用性はかなり高いと思う。
どんどん使っていきたい。
最後に、子どもたちが全て決める給食当番システムもやってみたい実践の一つだ。
テーマだけ決めて(例えば、「素早く」「正確に」「盛り切る」とか)あとは、そのテーマを達成するためにどう動けばいいかを子どもたちで考えながら修正しながらどんどんチャレンジするという方法だ。
はじめは時間がかかるかもしれないが、それでもチャレンジすることで、失敗を恐れず、みんなで共同修正して、自分達でクラスを作っていくオーナーシップが芽生えてくるのではないかと思う。
この給食当番の例だけではないが、日常的に、子どもたちが考え、自己選択・自己決定をし、それを対話しながら振り返る機会というのをいかに位置づけることができるかはとても大事だと思う。
コーチングの考え方をベースに、子どもたちの主体性を育む学級経営を進めていきたい。