いっしょにつくる。 265
前回の記事で、学校長が定年を迎えたあいさつについて書いた。
実は、この記事で書いたあいさつの終わった直後、用意していた花束を職員からプレゼントした。
学校長は、そのサプライズを全く知らなかったから驚いていた。
サプライズは成功である。
しかし、今回のサプライズは、2段階構成になっている。
宇宙への打ち上げロケットみたいだ。
本当の勤務最終日である今日、その第2弾サプライズを決行する。
サプライズが2段階構成になっているのにはわけがある。
間に合わなかったからである。笑
3月21日の夜、同僚から電話があった。
職員室でサプライズ企画を思いつき、協力してほしいとのことだった。
すぐにOKの返事をしたら、学校長の似顔絵を書いてほしいと依頼された。
「でも、忙しいのは100も承知やから、断ってくれてもかまへんし、全然31日まででいいから!」
とえらく恐縮された。
でも、その似顔絵を書いて、それを表紙に、みんなからのメッセージの寄せ書きをつくると聞いたぼくの心はそわそわしていた。
はやくやりたくてうずうずしていた。
だから、電話を切った後、すぐに似顔絵づくりに取り掛かり、プロトタイプを完成させた。
時計を見ると、書き始めてから2時間半がたっていた。
完全にゾーンに入って、没頭していた。
翌日、プロトタイプを持ってうきうきして学校へと向かった。
放課後、学校長のいない職員室でプロトタイプを見ると、えらくほめられた。
いや、ほめちぎられた。
実物を見たことで、他の先生たちの頭の中にあった漠然としたイメージが形を持ち始めたんだと思う。
「こんな感じにしようか!」「こんなこともできるんじゃない?」
アイデアが止まらない。
そこから、書いた似顔絵をもとに、寄せ書き全体のデザインを考えていった。
その中で、それぞれに役割分担をし、サプライズ企画を進めていった。
この間、ものすごく楽しかった。
ポジティブな共通の目的に向かって進んでいくこと、
何かをいっしょにつくりながら対話していくこと、
そんなことの価値をすごく感じていた。
いっしょにつくっているものが真ん中にある状態で起きる雑談の中に、それぞれの価値観や見方が見え隠れする。
「いいねえ、良い感じやわあ。」とポジティブな承認を大切にしている教頭先生の姿だったり、
あちこちの先生に声をかけて、「みんなで」やろうと、人と人をつなごうとする発起人の先生の姿だったり。
ああ、なんかいいなあ。
言葉にしてしまうと、途端に雑味がそぎ落とされて、なんかまるっと全部この感覚を伝えられないのだけれど、とても温かく幸せな気持ちだった。
ぼくは、1年前に異動してきたときより、確実に今の職場が好きになっている。
そりゃあ、いろいろ課題は山積みだ。
けれど、それに対して、ポジティブに動いていこうと思える関係性が、ゆるやかにだけれど、できてきているように思う。
今回みたいな、「いっしょにつくる」ってことを通して、この関係性をより良くしていきながら、その関係性でもって、学校がより良く変化していけばいい。
コーチングで学んだこと、組織開発で学んだこと、システム思考で学んだこと、その他もろもろ…
すべてはつながっているなあという感覚。
ぼんやりとだけれど、そんな風に感覚として捉えられている自分がいる。
明日から新年度が始まる。
よし、まずは、今日のサプライズを成功させよう。