小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

消し去りたい過去。 51

書店員の新井見枝香さんのエッセイ

「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」を読んでいる。

その中の「パンツを脱ぐ女」(見出しのインパクト)に、

「人間は、人が見ていないと、見られているときには絶対にやらないことをする。」

という文があり、それが呼び水となって、ある過去の記憶が呼び覚まされた。

できれば、思い出したくなかった。

ここ一年は、忘れていたのに。

思い出してしもたやないか、パンツを脱ぐ女め!(パンツを脱ぐ女は関係ない)

 

それは、2年前の今頃のこと。

当時、私は5年生の担任をしていた。

そのころ、国語であるプロジェクトに取り組んでいた。

その名も「オリジナル物語を書いて一冊にまとめ、作家デビューをしよう!」

物語の構造やしかけを教科書の物語から学習し、

学習したことを生かして、物語を創作し、それを短編集として一冊にまとめる。

最終的には、それを図書室に置いて、貸出できるようにした。

そして、子どもたちにとっての処女作なので、クラス全員分、短編集を作った。

短編集だから、そこまでの労力は必要ないだろう。

そう高を括っていた。

全員分が完成して、ページ番号を振っていった。

400ページを超えた。

 

めまいがした。

 

これをクラス人数分…。

裏表印刷を実行しても約6000枚。

とてもじゃないが、平日放課後に、印刷室にこもってこの量はできない。

他の先生たちも使う印刷室を占領はできない。

 

そんなわけで、私はその週の土曜日、休日出勤をした。

誰も来ていないので、印刷室は使いたい放題。

私は早速印刷を始めた。

 

30分経過。

しかし、一向にゴールが見えない。

天竺を目指した三蔵法師ってこんな感じだったのだろうか。

くり返される単調な作業。

あかん、このまま続けてたら頭おかしくなる!!

 

というわけで、この単調な作業をどうすれば楽しくできるのか、

休憩しながら、一人作戦会議した。

そして、一つのアイデアが頭に浮かんだ。

 

 

そうや!印刷室にBluetoothスピーカーを持ち込んで、爆音で好きな音楽かけながら、印刷室をライブ会場にして、テンションを上げよう!!

 

早速、スピーカーをセットし、好きな音楽を爆音でかけまくって印刷を再開した。

無味無臭の単調な作業で渇いた私の心に、

ランダムで流れ続ける大好きな音楽たちが潤いを与えてくれた。

印刷を待っている間、音楽に身を任せて、

ステップを踏んだり、飛び跳ねたり、自由に音楽を楽しんだ。

1人だからこそできたことだ。

平日にこんなことはまずしない。

 

そして、5時間後…。

約6000枚の印刷が無事終了。

今まで経験したことのないような達成感に包まれた。(薄っぺらい人生か。)

 

翌日、登校すると、若手の女の子が6000枚の束を見て、驚いていた。

 

「ええー!?にょん先生、昨日こんなに印刷してはったんですか?」

 

その一言に私は凍りついた。

 

「え?昨日?え、〇〇さん、学校来てた?」

 

 

 

 

「はい。来てましたよ。帰る時に印刷室のぞいて先生に声かけようと思ったんですけど、めっちゃ音楽爆音で鳴らして、集中してはったんで…すいません。」

 

 

 

 

 

 

いやあああああああああああ!!!!

 

穴があったら入りたい。

ないなら掘って入りたい。

 

そんな私の消し去りたい過去でした。