31冊目「クジラアタマの王様」 195
今年度31冊目の読了本はこちら。
前作「シーソーモンスター」を読了する前から購入して積読していた本。
実は、9月頭には読み終わっていたのだけれど、ブログに書くのを忘れていた。
まず目につくのは、小説の中に、漫画が入っているということ。
なかなか新鮮。
小説→漫画→小説→漫画…って流れ。
そして、この漫画、一切セリフがないのだけれども、まあ、内容が全然わからない。
序盤の消化不良感が半端なかったです。
でも、それでも、我慢して読み進めることができたのは、これまで伊坂作品を読んで来てのある種の信頼感があったから。
きっとこの消化不良感は、物語後半で回収されるに違いない、という期待。
それもわかってて、ああいう思い切った仕掛けができてるのかなあ、と。
ほんと、伊坂さんって一体どこまで計算して書いてるんだろうって畏れすら抱きます。
…で、これがまた、見事に伏線回収されます、今作でも。
小説と漫画のリンクが見え始めると、不思議なもので、また読み返したくなってる自分がいるんですよね。
小説と漫画が互いに影響を与え合っている構造は、それそのまま物語の中の「夢」と「現実」の構造で、うまくできてるなあと思いました。
そして、いっつも伊坂さんの伏線回収で思うのが、「忘れた頃に絶妙にやってくる感」!!
なんか読者が、その登場人物なり、出来事なりを、読み進めていく中で、その存在が頭の隅から消えるか消えないかぐらいの絶妙のタイミングで伏線回収がされるのが、本当に見事だなあ、と。
それが今回は、文章とイラストの両方で感じられたので、新鮮、かつ、二度おいしいみたいな感覚になりました。
次回作が、もう今から待ち遠しい。
まさに、伊坂マジック。