小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

記憶の密度。 94

このブログ始めて以来のサボりをしてしまった。

 

でも、サボってみてわかったこともある。

それは、一日ごとの記憶の密度だ。

アウトプットをしない日常は、

本当にびっくりするほど、流れるように過ぎていく。

そして、ところてんのように、

毎日新しい朝がやってきては、古い日常から順に、

脳内から押し出されていく。

 

昨日食べた晩御飯の味だったり、

夜空を見上げた時の月のきれいさだったり、

親しい人たちとの何気ない会話だったり。

 

アウトプットを怠って、

ふと立ち止まった時、後悔する。

 

「あれ、あの時の晩御飯どんな味やったっけ?」

「あれ、あの時の月、何がそんなにきれいなんやっけ?」

「あれ、あの時あの人とどんな話したんやっけ?」

 

人間は忘れていく生き物だ。

仕方のないことだ。

 

でも、放っておくと忘れていくような小さな日常にこそ、

忘れてはいけない感動が転がっている気がする。

 

それをきちんと掬い取れる人でありたい。

3日間のブログサボりを経て、そんなことを想った。

 

そういう視点からもアウトプットって大事だ。

日常の中で感じる一瞬の揺らぎのようなもの、

刹那、光を放つもの、

それを逃さず、掬い取って、

それを言語化して記録しておく。

言語化できない日常の些細な心は、

忘れられ、記憶の泉の底に沈んで取り出せなくなる。

 

アウトプットを積み重ねることで、

そうしたささやかな感動をいつでも思い返すことができる。

それは、この先の自分を励ましたり、

懐かしい気持ちにさせたり、

温かい気持ちにさせたりしてくれることだろう。

 

 

だから、オレよ。

サボるんじゃない。笑

ずいぶん、いいペースになってきたところじゃないか。

記念すべき100記事も目前に控え、

ここで失速してどうする。

続けよう。

質を語れるほどの、量をまだこなしていない。

圧倒的な量の先に見える、

まだ見ぬ自分の可能性を信じよう。

気にしてまう。 93

新年度が始まって、給食がスタートするまでは、

各自で昼食を用意します。

私は、できるだけ時間を有効に使いたいのと、

そんなに手持ちのお金がないのが理由で、

昼食は、基本コンビニで買って、持っていきます。

そして、同じように買って持ってきた先生たちと食べます。

新年度の忙しさの中で、昼食はホッと一息つく至福の時間です。

 

そんな至福の時間の話題は、「最近の恥ずかし体験」でした。

色々な先生たちの恥ずかし体験を聞いていると、

自分のこれまでの経験がぶわぁっと浮かんできました。

今の今まで、全く忘れてたのに、不思議なもんです。

 

浮かんできた経験は、2つでした。

必ずしも「恥ずかし体験」ってわけではないのですが、

私は、思い出したそれらの体験を先生たちに話しました。

(一気にじゃなくて、話の雰囲気を見て、ちょこちょこ)

 

【思い出した話その①】

以前、炭水化物抜きダイエット中の

ある出来事について記事を書きました。
yamanyo.hatenablog.jp

 そうです、近所にあるベトナム料理屋に行って、

炭水化物よけた注文したのに、店員さんが

サービス精神で、フォーを二玉くれたって話です。

 

あれからというもの、そのベトナム料理屋から足が遠ざかっています。

別に忙しくて食べに行く時間がないというわけでもないし、

今も絶賛炭水化物抜きダイエット中というわけでもない。

(目標体重に到達して、キープしてます!!)

もちろん、味に不満があるわけでもない。

でも、

でも、、

ひょっとしたら…

あのお店に行ったら、店員さんに

「あ、あのご夫婦、前フォーをサービスした二人や。

 あのサービスに味を占めて、またサービスしてもらえるんちゃうか。

 思て来てくれはったんちゃうやろか。」

…って思われへんやろか。

 

先生たちみんなクスクス笑って、一言。

 

考えすぎや!

 

そうやろか…。

 

 

【思い出した話その②】

少し前のこと。

職場の飲み会が京橋であり、

私はその飲み会に参加するために、電車に乗っていた。

ちょっと大きめの飲み会だったので、

いつもと違って、ちょっとジャケット羽織って、

パリッとした格好。

耳にはイヤホンをして、聞いてるのは、Nulbarich。

手には文庫本。

これは、あれですね。

はたから見ても10人中10人が、

「いきってる。」って思うやつですね。

こういう時は、周りが見えてないことが多いですから、

注意が必要です。

ああ、のどが渇いた。

行きしなに買った爽健美茶でも飲むか。

ポケットに入れてあった爽健美茶(なんて深いポケット!)を

取り出して一口飲む。

 

コツン。

 

え…。

一瞬状況が分からずびっくりした。

でもそれも一瞬。

状況がすぐに飲み込めた。

キャップしたまま、飲もうとしてた。

見た目には平静を装いつつ、心の中には嵐が吹き荒れる。

 

 

(はっずー!!うそやん、うそやん!!

 え、ペットボトルのキャップ外さんと飲もうとする!?

 俺もう35やで!?いきった感じ出てたのが、余計ダメージでかい。

 今の電車の中の誰かに見られてたらどうしよ。

 いきってる時とコツンの時と両方見られてたらどうしよう。

 とんだビフォーアフターやん。

 ああー、自分のあほあほあほー。確認って大事ー!)

 

先生たちくすくす笑って、一言。

 

 

だから考えすぎや!

 

 

いやあ、自分が一番わかってるつもりですよ?

考えすぎや、なんてこと。

でも、考えちゃうんですよね。

 

だからこうして、赤裸々にカミングアウトして、

過去の恥ずかし体験を成仏させようと、そういうわけです。

(どういうわけや。)

 

 

 

ついつい張り切ってしまう4月初旬。 92

いやー、新年度スタート3日目が終わりました。

ざっくり言うと、頑張りすぎ。

やっぱりスムーズなスタートを切りたいので、

ついついあれもこれもと準備に欲張りになってしまいがちです。

でも、そんな時こそ、「捨てる勇気」ですね。

人間のキャパには人それぞれ限界があるので、

捨てないと、スペースが空きません。

だから、私も「捨てる勇気」を振り絞りました。

 

すきま時間に食べてしまいそうになるチョコ。

 

食べない勇気!!

 

職場の先輩がさりげなく休憩スペースに置いてくださったフィナンシェとか。

 

食べない勇気!!!

 

その食感に気が付けば手が止まらなくなるルーベラ。

 

食べない勇気!!!!

 

先に帰る職場の先生がそっと置いていってくれたルマンド

 

…これはいいでしょう!!!!!

 

サイズもリアルルマンドのハーフサイズやし。

(ルマンドだけ別格扱いやめろ。

そして、お前は「食」以外の無駄を削る気はないのか)

 

昨日も、気付けば自分の仕事もそこそこに、

入学式を控える1年生の先生たちのお仕事の手伝いをしてました。

時刻を見ると、7時過ぎ。

 

あかんやん、帰らなあかんやん!!

だって、生活スタイル朝特化型にしたのに!

その恩恵で、アフターファイブは好きなことするって決めたのに!!

 

案の定、帰宅して、洗濯物たたんで、夕飯作って、食べてしたら、

強烈な睡魔到来。

あー、あかんで。これは、あかんヤツや。

ちょっとでも気を抜いたら、一瞬で夢の世界へ行くやつや。

だから、まず横になるのをや…

 

 

ZZZZZZZ…

 

 

 

はっ!!今しがた気を抜くまいと思いかけた矢先やったのに。

 

…って、うえっ!?10時!?うそでしょ!?

 

お風呂入って、即就寝。

 

そして、目覚めたら、今朝の5時でした。

 

 

こんなんじゃだめだ!

 

というわけで、今日からは早速、マイライフを修正。

7時に帰宅して、大急ぎで晩飯作り&洗濯物たたみを済ませ、

ギターで星野源の「夢の外へ」を弾き、

こうしてブログを書いておるわけであります。

 

明日からも、このペースを死守して、

仕事もプライベートも、120%楽しんでいく所存です!!!

はじまる。 91

新年度がスタートした。

新しい元号も「令和」と発表された。

 

朝、7時半ごろ職場に到着した。

まだ職員は学校長以外来ていない。

特にやることもないのだが、

自分の席に座って、職員室を眺める。

どの先生が座っていた席もすっきりしていて、

それは当たり前なのだけれど、

新しく「今日から始まるんだ。」という気持ちを、

より一層強くした。

 

時間が経つにつれ、職員がぽつぽつ増えてきた。

全員が揃ったところで、職員会議。

昼休憩をはさんで、校務分掌の会議。

体が空いたのは、4時を回っていた。

毎年、新年度一日目は、こんな感じで終わったな。

そんなことをぼんやりと思った。

新しい人事も発表され、

今朝は、ぼんやりとしていた新年度が、

にわかにはっきりとした輪郭を現し始めた。

 

まだまだ心の準備も、体のエンジンも、

100%ではないけれど、

自分らしくやっていこう。

 

誠実に、謙虚に、一生懸命。

子どもたちの成長のためにできることは全力でやろう。

同時に、自分自身、大好きなこの仕事を思いっきり楽しもう。

そして、自分のプライベートも充実させよう。

やりたいことは、行動に移そう。

どんどんチャレンジをしよう。

小さなことを積み重ねよう。

継続の先にいる自分の成長を信じよう。

感謝の気持ちを忘れないでいよう。

 

令和元年。

齢36の年。

人生はこれからだ。

13冊目「宝島」 90

今年度13冊目の読了はこちら。

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「宝島/真藤順丈

今年のバレンタインデー、チョコの代わりに

奥さんにプレゼントしてもらった本だ。

デビュー作「地図男」を読んだのは、

ずいぶん前のこと。

 

本作は、全541ページの大作だ。

そんなこともあり、日常生活の中で読み進めてはいても、

なかなか進んだ気がしなかった。

それでも、コツコツ読み進めていった。

そして、昨日ようやく読了。

 

誤解のないように言っておきたいのが、

気が乗らないまま、読み進めたのでは決してないということだ。

気が乗らないどころか、「宝島」は、

ページ数にも増して、話の内容がとても壮大で、深い。

その圧倒的なまでの作品世界を

隅々まで堪能しながら読み進めていった。

 

舞台は沖縄。

戦後まもなくから、

日本返還を果たすまでの沖縄を生きた

3人の男女が主人公だ。

三部構成で、3人は少年少女から大人へと成長していく。

 

 

 

全編沖縄の方言で描かれており、

登場人物の話す言葉はもちろんのこと、

語り部(ユンター)も沖縄の方言を駆使して、

物語を紡いでいく。

 

オンちゃんという一人の英雄の背を追い、

戦後の米軍統治下の沖縄で、

自分たちのアイデンティティを奪われまいと、

基地に侵入しては物品の略奪をくり返す日々。

それは、3人にとって、不自由さはあれど、

満たされた日々だった。

しかし、カデナ・キャンプ襲撃に失敗したその日、

オンちゃんは3人の前から姿を消す。

 

これを機に、3人の運命の歯車は大きく狂い始める。

それぞれに、消えたオンちゃんの影を追い続け、

日々を懸命に生きていく。

しかし、もがけばもがくほど、

3人は運命に翻弄され、離れ離れになっていく。

「沖縄に生まれ、米軍に支配される自分たちは、何者なのか。」

「何を道しるべに生きていけばいいのか。」

「そもそも何のために生きるのか。」

様々な問いが常に3人の頭の中をめぐる。

答えは、出ない。

けれども、もがかずにはいられない。

抗わずにはいられない。

「生きることをあきらめる」ということは、

3人がその背を追い、憧れ続けたオンちゃんを

否定することに他ならなかったから。

 

しかし、わずかにつかんだ手掛かりも、

いつも、そのしっぽをつかむ前に煙のように消えてしまう。

それでも運命に抗い続ける3人。

 

そんな3人の生き様が、3人それぞれの視点を切り替えながら、

描かれ、それは、戦後の沖縄を駆け抜けていく。

 

あまりの大作で、これ以上あらすじをうまく書ける気がしない。

だから、止める。

 

消えたオンちゃんの行方は?

3人の運命は?

そのあたりが物語の中心になる。

 

読了した今、放心している。

 

その圧倒的な筆致に。

驚異的な物語の豊かさに。

 

戦後統治の名目のもと、

くり返される米兵による悲惨な事件、

軍用機の墜落事故。

それらの犠牲になるのはいつだって罪のない島民だ。

そんなくり返される事件・事故によって、

蓄積された民族の怒りが3人を通して、

痛いほどに伝わってくる。

人としての尊厳を踏みにじられ、

味方であるはずの日本政府さえ、はしごを外す地獄。

そんな中でも自らのアイデンティティを守ろうと、

必至に抗う人々の魂の叫び。

しかし、そんな叫びは、また新たな事件によって、

踏みにじられる。

戦後沖縄の、いや、現在に至るもなお続く、

沖縄の抱える大きな闇、

その一端を垣間見た気がした。

 

3人は、それぞれの立場で懸命に生きる。

それでも報われない日々は続く。

その中で、道を踏み外してしまうこともある。

それでも、己が信念を貫き、

傷つきながらも前に進もうとする3人に、

涙が止まらなかった。

本当に、号泣レベル。

ぐしゃぐしゃになりながら、読み続けた。

読書でこんなに泣いたのは、いつぶりだろう。

 

中でも第三部のクライマックス場面は、

圧巻の一言。

というか、圧巻という言葉すら霞む。

読みながら、読者である私は、

いつの間にか、3人に続き、

キャンプ・カデナを駆け抜けていた。

そして、ついに明かされる英雄オンちゃんの真実。

涙は次から次へとあふれ、止められなかった。

ボロボロになりながらも、

何度もあきらめそうになりながらも、

絶望の淵に立たされ続けてもなお、

生きることをやめなかった3人に心からの拍手を贈りたい。

 

舞台が戦後の沖縄であることは、先に書いたが、

これは、沖縄に限らず、すべての生きる人に、

とてつもなく大きな勇気と希望を与えてくれる本だ。

 

抗い続けろ。

運命に翻弄されるな。

人生は自分の手で切り開け。

決してあきらめるな。

読了した今も、

3人が、

オンちゃんが、

そう背中を押してくれている。

 

それと、3人それぞれのすれ違った人生が、

クライマックスで再び出会い、

それが大きな一つの流れに収束していく様は

見事としか言いようがない。

語り部(ユンター)に秘められた真実も

最後に明らかになるのだが、

その時の胸にこみあげた熱い感情は、

きっとこの先もずっと忘れないだろう。

最高の一曲。 89

気候もすっかり春になってきて、

毎日相変わらずその日の気分で様々な音楽を聴いている。

 

そんな中で、最近毎日ずっとリピートしている曲がある。

ので、今日はそのことについて書こうと思う。

 

その曲と言うのが、こちら。

 

春らんまん

春らんまん

  • provided courtesy of iTunes

 

もう今の季節にぴったり!!

ぴったりすぎる!!

この曲聴きながら、春のいろんな場面が目に浮かぶ。

 

満開の桜の下で友達や親しい人と過ごすひととき。

小春日和の中、新しい年度にワクワクしながら、

バイク通勤で職場へ向かうとき。

はたまた、春の夜、歓送迎会でワイワイして、

家までの道を歩いて帰るとき。

 

どんな春の場面にもすっぽりと入ってしまうような。

でも、主張しすぎないで、

そっと寄り添ってくれるような。

前向きな感情も少し切ないような感情も、

全て受け止めて、包み込んでくれるような。

そんな曲だと感じる。

だから、毎日、どこに行くにもこの曲を聞く日々だ。

 

歌詞は以下の通り。

 

春の日の中 君と走り抜けた

忘れないずっと そんな気がしただけさ

 

涙を見せない 君の強さを

僕は知ってるよ

 

さよなら言わないぜ 思い出すよ いつだって

だからほらいつでも 側に戻っておいで

 

凄い速さで 過ぎていく毎日が

終わらないでくれ 無理だってわかっていても

 

優しい気持ちは 春の風に乗り

時を超えて行く

 

さよならのときは 笑って手を振るのさ

心配しないでよ 僕はなんとかやるよ

 

さよならは言わないぜ 思い出すよ いつだって

だからほらいつでも 側に戻っておいで

またいつかのように 普通の話をしよう

あの時の時間を 巻き戻せるはずだろ

 

歌詞読むと、別れの歌なのかな。

でも、悲壮感はどこにもなく、

晴れ晴れした感じがある。

まあ、後悔や未練が全くないわけではないんだろうけど、

それでも、そんな感情もひっくるめて、

「前向きになれる」とまではいかなくても、

「そろそろ前を向こうかな」って思わせてくれる。

それは、ひょっとすると、

「春」って季節のなせることなのかもしれない。

春の持つ不思議な力。

そんな力が宿ったようなとっても素敵な一曲。

 

これから先、きっとこの曲と共に過ごす時間も増えていく。

それとともに思い出も増えていく。

その思い出たちは、これから何年か経って、

ふとしたきっかけでこの曲を聞いたときに、

桜の花が暖かさを感じて、一斉に開花するように、

そうした思い出も鮮明に思い出せる気がする。

 

そうやっていつまでもその人に寄り添ってくれる曲なんだろう。

サビの歌詞が、まさにそんなこととリンクしていて、エモい。

 

 

 

 

とか、勝手な解釈をつらつらと書いしまった。

 

 

ネバヤンのファンの方が見て、

「全然ちゃうし!」と言われたら、申し訳ないですの一言です。

が、私個人がそう感じてるだけなので、

目をつぶっていただければ、幸いです。

 

 

12冊目「七つの会議」 88

前回、まさかの本を手に入れるまでのエピソードで

一記事書いてしまった。

そんなつもりじゃなかったのに…。

でも、そういう手に入れるときの思い出も含めて、

読書記録として残しておくことにも、

それなりに意味があると信じて。

 

さて、そんなわけで本年度12冊目の読了はこちら。

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「七つの会議/池井戸潤

今や言わずと知れたベストセラー作家の池井戸潤の小説。

池井戸潤と言えば、「半沢直樹」や「陸王」なんかもドラマ化されて、

映像化が多いイメージ。

今回の「七つの会議」、

私自身、先にテレビCMで映画の方のイメージを知っていたので、

読み進めながら、頭の中では、野村萬斎が躍動していた。

(他のキャストさんは知らない…)

 

前回の記事で書いたように、

この本は石垣島から大阪までの帰りの飛行機の中での

暇つぶしとして購入した。

 

しかし、そこはさすが池井戸さん。

読ませる読ませる。

体は疲れているはずなのに、

全く眠くならない。

どころか、読み進めるたびに、

目は冴えていき、

ページをめくる手が止められない。

これは一気読みの予感。

そんな私の予感はずばり的中する。

飛行機の中で三分の一ほど読了。

関空から枚方市駅までの高速バスの中で、

さらに三分の一ほど読了。

そして、自宅に着いてからも深夜まで読み進め、

結局この日一日で丸々一冊読了してしまった。

恐るべきリーダビリティ。

 

本作は、東京建電という会社を舞台にして、

タイトル通り、様々な会議を通じて、

会社の不正が徐々に明らかになっていく話である。

 

一話ごとに、一つの会議が取り上げられていて、

短編としても毎回十分な読みごたえがある。

が、それぞれの短編同士が、後半に進むにつれてつながり、

その関連性が明らかになっていく。

 

序盤では、わずかな違和感や引っ掛かりだったほころびが、

それぞれの立場や性質の違う会議を重ねていくことで、

親会社のソニックまでをも巻き込んだ不正へと展開していく。

 

メインとなるその不正については、

ネタバレになるので伏せるが、

それぞれの会議において、

新たな情報が少しずつ明らかになり、

不正の輪郭が徐々に外側から立ち上ってくる展開は、

見事の一言。

 

そして、それぞれの会議は毎回

違う人物の視点で描かれていくのも、大きな魅力だ。

業績トップのエースの裏に隠された背景。

しがないOLの決意の裏にある気持ち。

どの人物も人間臭く、清濁併せて描かれている。

働く「目的」もそのために撮る「手段」も「考え方」も違う。

正義の反対は、「もう一つの正義」とはよく言うが、

それぞれの正義ゆえにぶつかり合う登場人物たち。

不正が許されるわけではないが、

それぞれの正義を通して、物語を見た時に、

それは自分自身への問いかけに変わる。

「自分にとって、働くとは?正義とは?」

そんなことも考えさせられた話だった。

 

万年窓際係長である八角(やすみ)の心に秘めた思いとは、

八角の正義は、どういう結末を迎えるのか、

それぞれの登場人物の正義はどんな決着を見るのか。

 

様々な視点から楽しめる超一級のエンターテインメント作品だ。