ダイエットを拒むもの。 11
少し前に、年末年始で増えた体重をもとに戻す、という誓いを立てました。
妻も本気を出すということで、我々夫婦は、炭水化物抜きダイエットを始めたのでした。
先日、スマホの買い替えに出かけて、用事を終え、時計を見ると7時を回っていました。
これから帰って一から晩御飯の支度をするのは、メンタル的になあ…という話になり、出たついで、そのまま食べて帰ることになりました。
しかし、炭水化物はNG。
どこで何を食べるのか、これまでと違い、考えなくてはいけません。
二人会議の結果、近所の「ベトナムフォー」のお店に行くことにしました。
…いや、フォーて、米麺やから、ばりばり炭水化物やんけ!
大丈夫です。そのお店には、火鍋があり、具材は、魚介・肉・野菜であり、炭水化物が含まれていないのです。抜かりはありません。
我々は車を走らせ、そのお店へと向かいました。
店は私たちを除くと、一組の家族のみで、すいていました。
年始かつ閉店1時間前ということも影響していたのかもしれません。
火鍋を2人前注文しました。
しばらくすると、火鍋が運ばれてきました。
これまで、この店ではフォーや一品料理しかたべたことがなく、
火鍋は初めて食べましたが、とてもおいしくいただけました。
体も温まり、お腹も満たされ、幸せな気分です。
火鍋もほぼ完食しようかという頃、
横では、私たちの後から来たカップルに、
アルバイトのお姉さんがラストオーダーを聞いているところでした。
その後、私たちのところへもラストオーダーを聞きに来てくれましたが、もうかなり満腹だったので、「特にないです。」と言って、下がってもらいました。
アルバイトのお姉さんは、ちょっと意外そうな様子でした。
おそらく、鍋の〆に雑炊などを頼まないお客が珍しかったのではないでしょうか。
満腹感から食べ終わった後もその場を動けず、だらだらと過ごしていると、
いつの間にか隣にいたカップルは帰った後で、店内には私たちだけでした。
アルバイトのお姉さんもさっきから他の卓の片づけをしています。
じゃあ、そろそろ出ようかなと思っていると、ちょっとした事件が起きたのです。
アルバイトのお姉さん
「これ、お店からのサービスです。良かったら、食べて帰ってください。」
小さめのお茶碗ぐらいの器に盛られていたのは…
フォーやないか。
店長の粋な計らい。
しかし、私たちは、炭水化物抜きダイエット中であるが故、ここを選んだ。
店長の粋な計らい、自分たちの決意。
揺らぐ心。
でも、答えはもうフォーを持ってきてもらった時から何となく決まっていた。
いただきます。
おもてなしへ感謝の気持ちを伝えるには、行動で示すしかありません。
大丈夫、二人で半分こすれば、大した量ではありません。
そうして、私たちは、残っていた火鍋のスープを温め直し、そこのフォーを入れ、食べました。
うまい。文句なしにおいしかったです。
若干の罪悪感は感じつつも、
店長の粋な計らいと、それに無事応えられた安堵感とで、
とても幸せな気持ちでした。
さてと…、
そろそろお会計しようか、と二人で話していた時、もう一つの事件が起こったのです。
アルバイトのお姉さん
「あのぉ、すいません。もしよかったら、これももうお店閉めちゃうんでサービスでどうぞ。」
フォーやないか。
フォーやないかーーーー!!!
二杯目もおいしくいただきました。
炭水化物抜きダイエットの道は、険しそうです。