天丼。 175
「天丼」とは…、
お笑いにおいて「2~3度同じギャグやボケをくり返して笑いを取る方法」を言う。
先日、日常において見事な天丼にでくわしたので、忘れないためにも残しておこうと思う。
昨日、久々に大学時代の同期と後輩の3人で飲んだ。
先に同期と二人で飲んでいて、三人目の後輩が揃ったので、店を変え、二軒目での飲み会がスタートした。
席についてすぐ、後輩が「にょんさんとお鼻さん(同期の仮名)にちょっとご報告がありまして…、実は、ぼく、結婚することになりました。」
その一世一代のような雰囲気を醸し出して、絞り出したような後輩の告白に、先輩としてふさわしいリアクションをした。
「あ、へええ。そうなんや。おめでとう。」
しかし、オンチ(後輩の仮名)は、納得しなかった。
「うっす!なんすか、そのうっすい反応!!もっと何かないんですか!?」
不服らしい。
んー、先輩として、落ち着いた対応をしたつもりだったが、どうもそっちではなかったらしい。
ということで、後輩がブー垂れるので、先輩として対応策を提案した。
「じゃあ、もっかい仕切り直しさせてや。もっかい最初からやろう。しっかりリアクションするから。」
後輩もこの提案を快く受け入れてくれたので、双方合意のもと、やり直しをした。
TAKE2である。
私「えー、じゃあ、どうする?飲み放題にする?」
オンチ「いや、そっからですか!?そこはいいです 笑」
私「え、あ、そうなん?なんや。じゃあ、本題のところからね。」
オンチ「お願いします。」
はい、TAKE3。
オンチ「あの、実は、僕、先輩たちに報告したいことがあって…、ぼく、あの、結婚するんです!」
私「えぇぇぇ!?結婚!?」(机を両手でたたき、前のめりに)
オンチ「はい。」
私「うっす!なに、そのうっすい反応!!もっと何かないん!?」
私の熱演を無駄にするようなうっすいオンチの反応。
うすいやろ。それはあまりにうすいやろ。
なんや、お前はあれか。
シングルロールのトイレットペーパーか!!半紙か!!
…という天丼の話、ではない。
こんな質の悪い天丼もどきの話をしたいのではない。
そう本編はここからである。
ここまで読んでいただいた方がおられましたら、謹んでお詫び申し上げます。
ただ私は一切悪くありません。
悪いのはオンチです。
あと、横で傍観して、一ミリも面白くなかったお鼻さんのせいです。
三人集まれば、こうやって、すぐに昔のように戻れて、居心地がとても良い。
中途半端なボケのやり取りで、後輩の結婚というビッグニュースがかすんでしまった。
これは、申し訳ない。
そして、本当に本心からとても喜ばしいニュースだった。
だから、先輩として、そのニュースに対する率直な喜びの気持ちと「おめでとう」のメッセージを伝えなければ。
「オンチが結婚かあ。うん、オレ…」
「お客様ー!飲み放題のコースは2時間と3時間あるんですが、どちらがよろしかったですか?」
「…、ああ、2時間でお願いします。」
「かしこまりましたー!」
「あ、ごめん。オレはさ、今結婚って聞いて…」
「お客様ー!こちらの飲み放題なんですけど、グラス交換制となっておりますので、ご協力よろしくお願いします!」
「…はい、わかりました。…結婚す…」
「お客様!こちらの飲み放題なんですけど、おひとり様2品ずつお食事の方を注文していただくことになってまして、どうされますか?」
「…あ、そうなんですか。じゃあ、串盛り合わせを全部3本ずつと、枝豆と豆腐下さい。」
「かしこまりました!」
「…結…」
「お客様!串の方、塩かたれのどちらになさいますか?」
いや、もうそれわざとやってます!?
てか、今の一連のやり取り、まとめて一回で済ませませんでした!?
なんなら途中、店員さんがちょっと向こう行って、僕が話し始めた時、店員さん入ってこんくて、「いや、入ってこーへんのかーい!!」ってツッコもうかってくらいまでは、未来予測してたからね!?
完全に乳首ドリルの流れやったやん!!
…以上、後世にまで残したいベストシーンでした!
うっす。