再会 38
先日、仕事終わりに大先輩と飲みに行った。
私が、大学3回生の時、
教育実習で私の指導教官をしてくれた先生だ。
就職してから、ずいぶん遠ざかっていたが、
うちの奥さんの勤務先で、今年校内研の講師として、
お世話になっていた縁があって、再会した。
久しぶりに再会した先生は、全く変わっていなかった。
出会った時と変わらず、若いまま。
一気に、実習時代に引き戻された。
当時、大学の授業にろくに参加せず、
実習間近になって、焦って、実習参加に必要なギリギリの単位を確保して、
なんとかこぎつけた教育実習だった。
週2回のサークルでサッカーをやって、それ以外は、
ひたすら飲んでいるような自堕落な生活。
始まった実習生活、規則正しい生活がまずきつかったのを覚えている。
けれど、担当になった2年生のクラスに入って、
子どもたちと出会って、意識が変わった。
どこまでもまっすぐな子どもたちはその時の自分を写す鏡だった。
そこに映っていたいたのは、愚かな自分だった。
そして、そのクラスを受け持っていた担任の先生―私の指導教官―は、
2年生の子どもたちに負けず劣らず、どこまでもまっすぐな人だった。
当時の愚かな自分と向き合わざるを得なかった。
実習の一か月間は、本当に楽しかった。
ここでの経験が、今の仕事へ向かわせる決定打となった。
そんな先生との再会。
久しぶりにお会いしたが、話は尽きなかった。
実習当時の思い出話、近況報告、教育について…。
そして、改めて思い知らされた。
先生の懐の広さ。包容力。共感力。
あの時は、言葉にするほど感じられなかった。
でも、今だからわかった。
先生のすごさが。
先生のお話を聞くつもりが、気付いたら、
自分の話を聴いてもらいまくっていた。
ほんとに聴くのが「神がかり的に」うまい。
そして、徹底的に相手への尊敬を忘れない。
年齢や経験で人を判断しない。
ただただ目の前の、自分が相対している人への敬意にあふれていた。
現代を生きるこの仕事に求められることは少なくない。
でも、先生と話していて、一番大事なことを教えてもらった気がした。
「共感力」だ。
どんな素晴らしい授業も、学級経営の手法も、
この力なくしては成り立たないと思う。
そして、この力は、一朝一夕で身に着くものではない。
「人を大切にする」ということを徹底的に突き詰めた先にしか
凄みを感じるほどの力として現れない気がする。
「極める」ってすごい。
自分なんてまだまだだ。
でも、それはまだまだできることがあるってことだ。
試せる「環境」も「時間」もまだある。
やらなければ。