小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

再会。 134

宿泊学習から帰ってきたその日、

飲み会に出かけた。

 

話は2週間前に遡る。

その日、仕事を終えて、帰宅し、スマホでLINEを開くと、

画面左上の鐘マークに「①」と赤いマークがついていた。

普段あまりないその通知に、

「何だろう」と思い、鐘マークをタップした。

そこには、

「今日はMさんの誕生日です。お祝いのメッセージを贈りましょう。」

とあった。

Mは、私が教員になって初めて受け持った女の子だ。

5・6年の2年間受け持ち、担任として卒業を見届けた。

初めて卒業を経験した子どもたちだけあって、

今でも鮮烈に記憶している。

その代の内の1人が、Mだ。

 

一瞬、メッセージを贈るのをためらった。

成人式で再会し、連絡先も知っていたとはいえ、

普段から連絡を取ったりなどしていない。

向こうからしたら、急に昔の担任から

誕生日おめでとうメッセージが来ても困るんじゃないか、

そう思った。

でも、この通知を見たのに、誕生日を素通りすることも、

同じくらいためらわれた。

そこで、同じためらいなら、贈ってしまおう!

そう決断し、短いメッセージを贈った。

 

すると、しばらくして、Mから返事が来た。

「にょん先生~!ありがとうございます!

 お久しぶりですね~!元気してますか?

 先生まだ大阪いてますか?私もうすぐ和歌山行くので、

 それまでにもしよかったらご飯行きたいです!」

 

思わぬ展開に面食らったが、

これも何かの縁。

久しぶりに会う教え子の近況も気になるし、

ということで二つ返事でオッケーし、

日程調整をした。

その結果、宿泊学習から帰ってきた日だと、みんなの予定が合う、

ということで、この日に決まったのだ。

 

私は、仕事から一旦帰っての集合だったので、少し遅れた。

急いで電車に乗り、予約した店へ向かった。

店の入り口で店員さんに予約名を告げ、奥へ向かうと、

MとNの二人が先に来て、しゃべっていた。

二人とも、見違えるほどすてきな大人の女性になっていた。

呆気にとられた。

二人は私の姿を認めると、くしゃくしゃの笑顔で再会を喜んでくれた。

その笑顔は、小学校の時とちっとも変っていなくて、

急に懐かしい気持ちがこみあげてきた。

「先生、メガネねっちゃ汚れてんで 笑!」

早速いじられた。

懐かしい。

そうやった、そうやった。

こうやって、毎日毎日いじり倒されてたっけ。

大学を出てそのまま就職して受け持ったから、

23の年に11になる子たちを担任していたことになる。

今考えると恐ろしい。

今目の前にいる元教え子たちは、今年24歳。

あの時、この子たちを卒業させた時、私は24歳だった。

目の前の子たちの歳の時に、当時12歳だったこの子たちを卒業させたのだ。

当時の私は、本当に学生の延長のような感覚でこの仕事をしていた。

今思い返すと、全く恥ずかしいやら、情けないやら。

消えてしまいたくなる。

担任というより、年の近い兄ちゃんみたいな感覚だったように思う。

子どもと同じように遊んでは、怒られたりもした。(教師っぽさのかけらもない)

授業も散々だった。

つけたい力よりも、自分がやりたいことを優先していた。

ほんとにめちゃくちゃだったと思う。

武勇伝でも何でもない無計画の塊。

だから、あれからいくらか経験を積んだ今、

何だか申し訳ない気持ちが心のどこかにあった。

でも、今の教育のシステムの中では、

こちらがどう考えていようと、子どもたちにとっては「先生」だし、

いくらこちらが「失敗した!」と後悔しても、

子どもたちにとってはその授業は「一回キリ」だ。

 

でも、MもNも、うれしそうに次から次へと、小学生の時の話を、

それはそれは楽しそうにしてくれた。

私に隠れてしたいたずらの数々。

授業中の私のどうでもいい話。

クラスでしたイベント。

当時の恋バナ。

話を聞いている間に、私の中にも記憶の花が咲き始めた。

話を聞く今の今まで全く忘れていたことが、急に思い出されて、

それを触媒にまた他の記憶がよみがえり、

次から次へと咲く記憶は止まらなかった。

あの頃、確かに私はこの仕事を楽しんでいた。

子どもたちにとって、十分にその力を伸ばすような授業はできなかったし、

学級経営もその場しのぎで切り抜けてばかりだった。

保護者対応も学級通信も、ろくでもなかった。

でも、確かに楽しかった。

そして、それは、子どもたちも同じだったようだ。

それがうれしかったし、唯一の救いだった。

 

「先生の授業はわかりやすかった!

 高校までの色んな先生の中でほんまに一番わかりやすかったし、

 楽しかった。」

 

「あと、いい意味で先生っぽくなかった。

 あんだけ全力で遊んだり、何かしてくれる先生折らんかったもん。」

 

そんな言葉をかけてくれた。

何ていい子たちだろう 笑。

どうしようもない担任だった私を、「先生」と呼び、

「先生」にしてれたんだな、この子たちは。

 

今、ここにこうして再会して、あの頃のように話ができている。

夢のようだ。

この仕事を続けていて、良かった。

心からそう思った。

最高に幸せな仕事だと思った。

ブラックだなんだって言われることも増えてきた。

でも、誰がなんと言おうと、この仕事は最高だ。

こんな素敵な子たちと出会えるんだもの!!

これが最高以外の何だというのか。

話は尽きず、途中で仕事終わりのKも合流し、

4人でずっと笑っていた。

みんな、大人になって、それなりに悩みもあるみたいだったし、

苦労も挫折もしてきたようだ。

それでも、こうして元気に笑い合えるし、

明日は来る。

うまくいかないことは、どんどんやってくるし、

理想の自分と現実の自分のギャップにも絶望するし、

それでも、悪くない。

全然悪くない。

人生、悪くない。

 

そんな前向きな気持ちにさせてもらった。

教え子って、偉大だ 笑。

 

また、いつか再会する機会もあるだろう。

その時に、またこの日みたいに笑い合えるように、

そんで、バカ話に花を咲かせられるように、

自分の人生を精いっぱい生きようと思った。

スマートじゃなくても、間違えても、転んでも、

別にいいから、

精いっぱい生きよう。

そんな風に思った。