コラボ昔話。 123
5年生での大きなイベント、宿泊学習が迫ってきた。
連日、様々な実行委員が集まり、
それぞれの担当の仕事を進めている。
前年踏襲はしない。
今年の宿泊学習は、今年の5年生が決めればいい。
キャンプファイヤーのプログラム、
しおりのレイアウト、
バス席や、活動班…。
自分たちで、時にはもめながらも、
みんなで納得解を導き出して、
そうやって滅多にないこの行事を、
思いっきり楽しんでくれればいい。
キャンプファイヤーの中で、クラスごとのスタンツをする。
うちのクラスは、劇をすることに決まった。
話し合った結果、ももたろうとうらしまたろうの合作に決まった。
台本を作ってくれる子がいないか募集すると、
何人かの子が手を挙げてくれて、その子たちに任せることになった。
そして、今日、その子たちがシナリオを仕上げてきた。
B4全3枚。
5~10分の持ち時間とはいえ、
そのシナリオには、努力の跡がにじんでいた。
そして、それ以上に、楽しんでいる跡が、
夢中になっている跡が、にじんでいた。
字の濃さから、筆跡から、字の大きさから。
もうそれが、最高で最高で仕方なかった。(語彙…)
すぐに人数分印刷し、学活の時間に、全員に配布した。
そして、初読み合わせをした。
各自で配られたシナリオを見て、セリフを確認し、
最初からゆっくり確認しながら通しで、読んでいく。
ありがたいことに、私も端役をいただいた。
「先生も出る?」と聞いてくれたので、
「役をいただけるなら、どんな役でもさせてもらいます。」とお返事した。
そしたら、サル役をすることになった。
いやいや、うらしまたろうとももたろうの合作やろ!?
その中でのサルって…めちゃくちゃキーパーソン(キーモンキー?)ちゃうのん!?
そう思いながら、その責任感に身の引き締まる思いで、シナリオを読んだ。
おかしい。どこまで読んでも、サルが出てこない。
ひょっとして、忘れられてる?
そんな不安が首をもたげ始めたころ、「サル」の文字がシナリオに出てきた。
ほっとしたのも束の間。
そこには、セリフはなかった。
ただ一言、こう書かれていた。
サル…(ボケる)
いやいやいやいやいやいや!!!!!
荒ない!?いや、荒ない!?
ボケる、オンリー!?
しかも、どんなボケかは、丸投げ!?
むちゃくちゃハードル高いやん!!
でも、めっちゃ燃えました。
この逆境…試されている。
「おい、先生、オレらについてこれんのか?」と。
やってやろうじゃないの。
私は、やる気の炎をめらめらとたぎらせて、
読み合わせに参加した。
読み合わせは、一行読むたびに、笑いが巻き起こるぐらい、
盛り上がった。
さすが、大阪育ちの子たち。
笑いのツボを心得てるなと感じた。
前半はうらしまたろう、後半、強引にももたろうになだれ込んでいく、
パワープレースタイルな劇だ。笑
それが、すっごく純粋で、たまらなく、クラスの子たちっぽくて、
ほほえましかった。
すでに、あちこちで小道具を作る子どもたちの姿を休み時間に見かける。
結構、今回の劇に本気だ。
とってもいいことだと思う。
このクラスのこのメンバーだからこそできることは、
今しかできない。今だけのコラボだ。
その機会を全力で楽しもうとする子どもたちがとても愛おしい。
来週から、本格的にスタンツ練習に突入していく。
宿泊学習から帰ってきてからも、後々、
「あの時のスタンツの劇はやばかった。伝説やった。」
って、子どもたちが武勇伝のように語れる、
そんなスタンツになればいいなと思う。
全ては子どもたち次第だ。
私ができるのは、どれだけ頑張ってもサポートでしかない。
だからこそ、主役の子どもたちを最大限生かせるように、
全力を尽くしたい。