小学校教員にょんの日々ログ

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6冊目「なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?」 48

最近、読書がいいペース。

やっぱり、仕事から帰る時刻を早めに設定したのがいいらしい。

仕事の後のフリーの時間がかなり充実している。

こんなことなら、世界のエリートを目指して美術館にでも行こうかしら。

嘘です。調子に乗りました。すいません。

 

というわけで(どういうわけや)、6冊目の読書記録。

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著者は、岡崎大輔さん。

京都造形芸術大学アート・コミュニケーションセンター専任講師 副所長。

対話を介した鑑賞教育プログラムACOPを、

企業内人材育成・組織開発に応用する取り組みを行っている。

 

なんだか、タイトルだけ読んでると、

「意識高い系」とか言われそうな気もするが、全然そんなことはない。

ものすっごく楽しかったし、個人的に仕事柄共感する部分や、

自信の経験と共鳴する部分があり、これまでばらばらだった

ことやものがつながったりして、とてもいい勉強になった。

 

ざっくり説明すると、アート作品を本書で提唱する8つの視点でもって鑑賞することを通して、「正解のない問題に取り組む力」や「問題発見力」、「問題解決力」、「論理的かつ体系的な思考力」などのこれからの予測困難な時代を生き抜くための様々な能力が養えるというわけだ。

 

今挙げた力の数々は、これからの小学校教育で必要とされている力ともリンクしている。

 

「みる」→「考える」→「話す」→「聴く」の4つのプロセスをループしながら、アート作品に描かれた事実を取り出し、それらを組み合わせたり、抽象化したりして、自分の考え(解釈)を生み出していくのが鑑賞の方法として紹介され、これはMoMAが考案した鑑賞法「VTS(Visual Thinking Strategy)」をもとに生み出された。

 

実は、この本を読みながら、強烈な既視感に襲われた。

この既視感がどこから来るのか記憶をたどっていくと、

3年前の秋に行き着いた。

 

そのころ、私は6年生の担任として、学年で国語の一大プロジェクトに取り組んでいたのだ。

それは、「〇〇小美術展を開こう!」というプロジェクトで、

学校の大きめの教室を美術館に見立てて、美術展をしようという企画であった。

子どもたちと考え、決めたプロジェクトだった。

このプロジェクトで、子どもたちは鑑賞文の書き方を学んだ。

その鑑賞文の書き方というのが、

作品から事実を取り出し、その事実を組み合わせて、

自分が作品から考えたこと・感じたことを書いてまとめるというものであった。

そう、VTSと重なる部分が多くあったのだ。

同じ作品を見ても、子どもによって全く解釈が違う。

同じ印象を受けても、どこからそう感じたのかが違う。

そこには、個人の「見方」や「考え方」が色濃く反映されていて、

子どもたち自身、その違いを心底楽しんでいた。

 

だからだろうか、とてもスムーズに読み進んだ。

この時の経験が、本の内容と重なって見えたのだろうか。

 

もう一つ、既視感のもとになる記憶があった。

森ゆりかさんだ。

三森さんは、子ども時代をドイツで過ごした経験を持ち、

日本に来てか、ドイツとの国語で扱う内容のあまりの違いに驚いたことがきっかけとなり、

現在は、つくば言語技術教育技術研究所で、言語能力の育成のためのプログラムの開発に携わっている。

そんな三森さんの著書を以前、何冊か拝読した。

当時お世話になっていた管理職に薦められたのがきっかけだった。

三森さんは、絵を見てそこに何が描かれているのか、どうしてそう思うのか、

描かれた事実とその根拠を対話の中で広げ、深めていく。

そうすることで、言語活用能力が高まっていく。

そんなことが書かれていた。(うろ覚えなので、違っているかもしれないが)

 

VTS・三森ゆりかさん・3年前の美術展プロジェクト、3つがつながった感覚があった。

まだ、頭にもやがかかったようなところもあり、すっきりと全てがつながったわけではないが、

それでも、この符号に少なからず興奮した。

来年度、このあたりを踏み込んで研究してみるのも、面白いかもしれない。

そんな新しい方向性とモチベーションを得られた一冊となった。

なんとかこの符号を、自分にしっかりと落とし込んで、

子どもたちの言語能力を高めるきっかけにしたい。