learn × creation④ 166
lxc2日目の最初に選んだのは、
サブアリーナでのシンポジウム。
「『好きを探せる力』のための家庭×社会×学校の役割とは?
~小さな探究者から大人までの学びを考える~」
登壇者は以下の4人。
熊平美香(一般社団法人 21世紀学び研究所代表理事)
草本朋子(一般財団法人 白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事)
堀田はるな(モンテッソーリ原宿子どもの家、モンテッソーリすみれが丘子どもの家教員/保育士)
山藤旅聞(新渡戸文化学園小中学校・高校教諭・学校デザイナー)
まず、それぞれにテーマに沿って、
取り組んでいることなどを聞いた。
以下に、それぞれの話を簡単にまとめておく。
①堀田はるなさん
・モンテッソーリメソッド→子どもの主体性に任せ、教員の仕事は基本的に場の設定
・それ以外では、教員がやり方を示す(やってみせる、時に繰り返し)
→子どもは視覚優位の場合が多いから
・異年齢保育(2~6歳)→自然と子どもたち同士で教え合うように
・教員→子どもの豊かな体験をサポートする伴走者というスタンス
・全ての子どもの育ちを受け入れる(育ちは一人一人違って当たり前)
・大人が先回りすると、子どもの育ちを阻害してしまう
②山藤旅聞さん
・SDGs×教育
・学びを学校の中だけで終わらせない。社会へアウトプットし、評価を受ける。
・企業・NPO・NGOとのタイアップを自然なものに。社会とシームレス。
・「社会とつながる教育を」
③熊平美香さん
・経済と教育は双子→経済が画一的な現在に呼応して、教育も非常に画一的
・1億総リフレクションを目指す(これからの人生100年時代のカギは「内省」)
・シチズンシップ教育、ピースフルスクールの必要性
・対立が前提、意見が違っても友だちで良い。自立と共生。
・ネガティブな感情がカギ(感情を「なぜ?」で掘り下げていく)
それぞれのお話があった後、
またそれぞれが答える形でシンポジウムは進んでいった。
Q.他の子と比べて見てしまいがちだが、「好き」や「個性」をどうとらえる?
A.「あなたはあなたでいい」という承認。「好き」を見つけるまでには、トレーニングが必要。子どもを一人の人間としてリスペクトする。基本的に自分のことは自分でする。
Q.SDGs×教育の中で、子どもたちの「好き」とゴールはどうつないでいく?
A.SDGs→大人も答えを持っていない。つまり大人と子どもが対等。専門性を持つ大人子どもが協力し始めると、先生は見守るだけ。
例】小5理科→教科書の中から好きな実験をして友達に教えよう→意欲的に取り組む
「子どもが自分で選ぶ」ということが大切
社会の濃縮版を教室で展開できればいい。
大人が子どもから学ぶスタンスをしっかり持つ。
子どもたち自身が文化を作っていく人間になる。
SDGsもSTEAMもあくまで手段。手段の目的化に陥らない。子どもたちが自分の人生をどう幸せに生きていくかが最上位目的。
Q.変化していくことに向けての一番のハードルは何か?
A.子どもと学びの場だけでは変化を実現させるのは難しい。親・学校を含め、社会全体で整備していく必要がある。
家庭・社会・学校が共有マインドで。同じ理念・同じビジョンで子どもたちに向き合う。
まず、先生自身が心理的な安全を保てるか。→社会が守っていく必要性。学校の完成版はもうない。リフレクションをくり返して創造していくしかない。
Q.親としてできることは?
A.自宅ではフリー。親から口出ししない。でも、子どもからの「やりたい」があった時は、一度は本物に触れさせるようにしている。
自分で決めさせる。リフレクションで自己責任を取る。失敗したら「えらい」とほめる。
今年に入って、これまで以上に、自分の学校や市町村だけでなく、全国各地の様々な教育関係者の方々の話や書籍などに触れ、「良い教育とは何なのか?」ということについて考え続けている。
苫野一徳さん、岩瀬直樹さん、工藤勇一さん、坪田信貴さん、アニーブロックさん、ヘザーハンドレーさん、ジョンカウチさん、ジェイソンタウンさん…
たくさんの考えに触れるにつれ、それぞれの考え方の根っこは同じだということに気付いた。
子どもたちの持つ力を信じて任せ、その力が最大限に発揮できるような場の設定を考える。
未来を生きる子どもたちの力を育てるために、社会とシームレスな教育を目指す。
子どもたちが自ら選び、トライ&エラーを安心してくり返すことができるようなサポートする。
子どもたちの全てを受け入れる。子どもへのリスペクト。
アプローチ方法が違うだけなのだ。目の前の子どもたちが違うから、当然と言えば当然の話だ。
しかし、往々にして、有名な方の実践や「いいな」と思う魅力的な実践に触れると、「自分もやってみたい」と思う。それは、素直な反応だし、それはそれで大事にすべき気持ちだと思う。
けれども、本当に見習うべきは、その魅力的な実践をしている人の、教師としての在り方だ。教師として、どんなビジョンを持ち、何のために仕事をしているのかという信条とも呼べる部分だ。
そこを見落として、実践の表面だけなぞっても仕方がない。
もちろん、良い部分はどんどん取り入れていけばいい。
ただし、目の前の子どもたちに合うようにカスタムして。
どんないい実践も、すべては子どもたちありき。
子どもたちの見えない実践は、いずれ廃れていく。
どの実践も、その時その時の目の前にいる子どもたちに、最大限フォーカスして、最適解を探し続けてきた結果、その中に共通項が見え、その実践の積み重ねが、確固たる手法として確立されてきたのだ。
そんなことを考えさせられ、「じゃあ、お前はどうなんだ?」と胸に思いっきり問いを突き刺された気分だった。
先日、みん職の中で、岩瀬先生が言っておられた言葉、
「共同修正」
その言葉が、ずっと心の中で響いている。
授業も、職員室も、学校も、教室も、
全て同じなんじゃないか。
そう思う。
2学期から、今まで以上にトライ&エラーをやっていこう。
そして、短い時間でもいいから、リフレクションをしよう。
その小さな毎日を積み重ねていこう。