次の名前どうするんやろ。 214
12月ともなると、朝は冷え込みが厳しくなってきた。
バイク通勤のぼくにはものすごくきつい。
こんなにきついなら、いっそ電車通勤にしてしまおうか。
そしたら、電車に乗っている間、読書時間も確保できるし。
と、一瞬思うが、それはない。
最寄駅からの、最寄り駅という称号を返上してもらいたいぐらいの距離を歩かねばならないからだ。
この寒い中、あの距離を歩くくらいなら、やはり片道15分バイクで耐え忍んだ方が、総合的なメリットははるかに大きい。
そんなことを毎朝のように考えながら、出勤する最近である。
バイクに乗っている時に体感温度というのは、それはそれはもう、低い。
皮の手袋を貫通して指先はかじかむし、ヘルメットの隙間から入ってくる冷たい風で、頬から口元にかけてがフローズンアイス。
夏場に食べたい自分の顔。
あほか。
そんなわけで、防寒対策は欠かせない。
念には念を入れて、その上で石橋をたたいて渡らないぐらいの念の入れよう。
先日、新しいのを買ったのだ。
その名も「超極暖ヒートテックタイツ」
話は少しさかのぼるが、このネーミングを見た時に、余計なお世話で心配になった。
昨今、科学技術の進歩は目覚ましい。
私がこのヒートテックタイツを履きなれる頃には、次世代のヒートテックタイツが開発されているかもしれない。
しかし、そうなるとだ。
困るのは、販売する時のネーミング。
だって、現時点で「超」とかいう便利な接頭語、もう使ってしまってるから。
「超」の上って何なのだろう?「極」も使ってもうてるし。
実は、ネーミング、なかなか袋小路なんじゃないのか?
それともひょっとしていけるとこまでいくんだろうか。
新発売!「メガ」極暖ヒートテック!
とか。
新発売!「ギガ」極暖ヒートテック!
とか。
新発売!そう、もうお分かりですね?「テラ」極暖ヒートテック!!
とか。
でも、そうなると、もう先が見えて来てるから、最終的に「インフィニティー極暖ヒートテック」!!とかになるんやろか。
インフィニティーて。
それもう、低温やけど越えてるレベルちゃうかなあ。
そんな一円にもならない無駄なことを考えながら、バイクを走らせ、職場に到着。
「おはようございまーす。いやあ、寒いですねええええ!!」
この冬、もう何回ゆうたことか。
会話のつかみ、テンプレート化著しい!!
午前中は何とか無事に終え、昼休み。
鬼ごっこに誘われた。
ありがたいので、喜んでお受けすることにした。
しかし、ここで悩ましい問題が一つ発生する。
「超極暖ヒートテックタイツどうしよう…」
一回ぬぐべきか、そのまま行くべきか。
まあ、走ってたら暑くなってくるやろうし、脱いでた方が後で楽。
なのか、
いやいや、出た時しばらく寒いし、ゆうほど走り回らん可能性もゼロじゃない。
なのか。
迷う。迷う。
いらんとこで、貴重なウィルパワーを消費しまくる。
いや、消費じゃない、浪費や。
どんどん減っていくウィルパワー。
私は決断した。
「超極暖ヒートテックは着たまま、参加する!!」
結果、オニになり、というか、させられ、めちゃくちゃ走った。
12月なのに、汗をかいたのは、これが最初だ。(まあ、ゆうてまだ10日そこらやから)
「昼休みおにご誘われたら、超極暖脱ぐか否か論争」、難しいなあ。
まさに、答えのない問いに向き合う時代だと感じさせられた。
あほか。