トイレの電球。 62
数日前、トイレの電球がキレた(擬人化)
いや、切れた。
昼間に切れたから、すぐに困るなんてことはない。
けど、このまま時間が過ぎて、夜が来れば、まあ、困る。
暗闇で用を足す。
自分の家で。
ドアを閉めれば、本当に真っ暗だ。
お尻、ちゃんとふけるかな…。
いや、それは、できる。
はず。
35年連れ添ってきたこの体、
その感覚には自信がないはずもない。
いや、なかったらおかしいよね。
一体これまでの人生で何回お尻を拭いてきたことか。
尻拭いをしてもらったこともあるけど(うまないわ)。
いや、でも、万に一つでも、
ティッシュをお尻に持っていく手が、ずれてしまったら…。
最悪の事態である。
それだけは避けたい。
やはり確実性を求めるなら、電球は必須。
何のことはない。
ちょっと出かけたついでに買って帰ってくればいいだけだ。
…出かけたのに、買って帰れなかった…。
電球のサイズ分からんかった。
チェックしてから出かけるの忘れたあああ。
というわけで、暗闇トイレット。
…になるところ、奥さんが気を利かせて、懐中電灯を用意してくれた。
ナイスアイデア!
左手に懐中電灯、右手にティッシュ!
こうすれば、鬼に金棒、お尻に懐中電灯。
いやいや、冷静になろう。
左手の懐中電灯で、どこをどう照らすねん。
ティッシュを巻き取る時…うん、役に立つ。
お尻拭く時…そこや、そこ!!
このタイミングでどこを照らせば、スムーズに事を終えれるねん。
股の間から照らして、右手は後ろから回して拭く?
いや、照らしてる意味ないやん!
じゃあ、ラジオ体操の要領で、
左手も体の前を右側に横切って、
右手の後を追う感じで照らす?
いや、それも意味ないやん!
くそ!!(え、かけた?)
この先の見えない(暗闇だけに?)トイレ、
どうすれば、希望の光が差すんだ!!(暗闇だけに?)
ふと、トイレの隅を見ると、予備のトイレットペーパーが視界に入った。
真ん中には、穴 like a ちくわ。
!!!
閃いた!!!
私は、そっと予備のトイレットペーパーの穴に、
懐中電灯を差し込んだ。
すっぽり。
ジャストフィット来たあああああああ!!!!
ほんのり照らされる天井。
薄暗いが、周りを認識するには十分だった。
私は、無事に用を足して、トイレを出ることに成功した。
全身を安堵感が包んだ。
そして、思った。
電球、はよ買いに行こ。