テーマをください。 63
さっき家に帰ってきた。
駐車場に車を止めて、家までの数十秒。
奥さんに声をかけた。
「なあ、ブログの今日のお題、なんかくれへん?」
考えるのがめんどくさかった。
なぜなら、お腹がいっぱいだったから。
手首の不調により、最近車通勤をしている。
そんなこともあり、今日は帰りに奥さんを迎えに行き、
拾ってその足で買い物に行き、帰りに王将でご飯を食べて帰ったのだ。
私の胃袋はすっからかんだった。
要するに、腹ペコだ。
人って、なんで空腹のとき、自分の胃袋のキャパシティを見誤って、
むちゃくちゃ頼んでしまうんでしょうか?(え、そんなことはない?)
食べに食べました。
ラーメン+天津炒飯+餃子+肉と卵炒め…
炭水化物ばっかり!!
炭水化物のエレクトリカルパレードや!!(彦摩呂でも言わんわ)
そんなわけで、満腹になった私は、
ブログに書くことを決めるのが億劫だったのだ。
私の問いかけに奥さんは、少し逡巡した後、
いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「お題?ん~、あ!これはどう?」
私は、言葉の続きを待った。
「『今日のお題なんかくれへん?』はどう?」
あー。
おそらく奥さんも私と一緒だったんだろう。
お腹いっぱいで考えるのが面倒だったのだ。
そんなことを言うと、全然違うし!と言って怒りだしもしそうだが、
図星だと思う。
でなければ、考えても思いつかなかったんだろう。
その後、私がなんだかがっかりした顔をしているようにでも見えたのだろうか。
慌てて取り繕うように、別のお題を提案してくれた。
「あっ、それやったらさ、さっきの王将のバイトの女の子はどう?
バイト入りたてっぽかった女の子!」
しかし、私は、その提案を丁重にお断りした。
お題は出されたのだから。
賽は投げられたのだから。
武士に二言はない。(ちなみに、私も奥さんも武士ではない)
というわけで、今に至る。
今日のお題は「今日のお題くれへん?」である。
何だろう、この入れ子構造のような、鏡合わせのようなお題は。
さながら、マトリョーシカのようである。
家について、まず風呂に入った。
そして、考えた。
そうしていると、閃いた。
いや、うそです。
絞りだした。
このお題でも記事が書けることを証明したい。
あんたの旦那はできる男なんだと!
私は、帰り際、奥さんからお題を出してもらった。
そのお題は、口頭で聞いた。
そう、私はここに着目した。
聞いただけ。つまり、音として聞いただけなのだ。
「きょうのおだいくれへん」という音を。
どこで切ろうが文句は言われないはずだ。
だって口頭だったもん(屁理屈ですね)!
というわけで、「おだいくれへん」とパソコンに打ち込んで、
予測変換候補を見てみた。
すると、私の読み通り、へんてこな予測変換候補が姿を現した。
さすが、大阪弁。ノットオフィシャルジャパニーズ。
「尾田育れへん」
なるほど。
状況は大体わかった。
つまり、こういうことだろう。
にょんは、小学校の教員をしている。
経験年数も十年を超え、職場ではすっかりベテラン扱いである。
ある日、にょんは、同僚のわんこ(仮名)と放課後に話していた。
にょ「いやあ、今日もあかんかった。」
わん「どうした?なんかやらかしたん?」
にょ「いや、おれがやらかしたというより、あいつにやらかされた。」
わん「あいつって…ああ、尾田?」
にょ「そう。何か話し合いで自分の意見通らんかったのが気に食わんかったんやろうなあ。多数決で負けたら、急に暴れだして、その辺のもの投げまくってさ。」
わん「あちゃー。まじか。それで、だれもけがなかったん?」
にょ「うん、それは、不幸中の幸いで。でも、もうあいつ持って一年経とうとしてるけど、なかなかやなあ。」
わん「そっかあ。経験13年目のにょんでも、尾田育れへん…か。」
説明しよう。
「育れへん」とは、教育関係者の間でのスラングのようなもので、
「育てられない」の省略形である。
誰が言い出したのか定かではないが、
にょんが新任で採用された初任校で、
すでに先輩がこのスラングを使っていたことからも、
ずいぶん前から使い古されてきた言葉なのだろう。
…。
何や、これ。
無理やりにもほどがある。
ひどいなあ。
びっくりするほどの、中身のなさ。
「育れへん」とかゆうたことないわ。
んじゃ、なにか。
めちゃくちゃ育てることできたら、
「めっちゃ育ってる」とかゆうんか。
それ、一文字違いで、
「めっちゃイキッてる」と勘違いされる可能性極めて高い。
やめてた方がいい。
なんだかお下品。(誰が考えた)
というまさかの予測変換に逃げるというお粗末。
こんなことなら、普通に自分でお題考えた方が堅実やった。
もう二度としないでおこう。
封印。