熱唱 42
原付に乗りながら、歌を歌うのが好きだ。
風を切って走りながら、好きな歌を思う存分歌う。
最高の気分だ。
私は、職場までバイク通勤をしている。
職場までは、信号に引っ掛からなければ、15分。
タイミングが悪いと20分ほどかかる。
けれど、時間は特に気にしない。
なぜなら、歌っているから。
フルフェイスのヘルメットをかぶって歌う歌は、
自分の耳によく響く。
1人カラオケってこんな感じだろうか。
でも、いくら歌うといっても、時と場合によりけりである。
すぐそばを通行人が通り過ぎることだってあるし、
たまたま信号待ちで並んだ車の助手席の窓が開いていることだってある。
それを所かまわず、熱唱するほどの肝っ玉は持ち合わせていない。
なので、歌うボリュームをMAXにするのは、
決まってスピードを出しているときだ。
信号待ちの時は、charaのようにささやき声だ。
大きな声で歌いたいのに、charaレベルのボリュームでしか歌えない。
んー、地味にストレスがたまる。
追い打ちをかけるかの如く、国道を横切る赤信号は長い。
「ならいっそ歌うのやめたら?」とお思いになる人もいるかもしれない。
しかし、それはできない。
ここで歌うのをやめてしまったら、
このあとの川沿いの直線道路でサビを大声で歌えないじゃない!
毎日、歌う歌はちがう。
だからサビのタイミングも様々である。
ある意味、くじ引きみたいな感じだ。
だから、いつも通る直線道路できれいにサビに入れたら、
「いいことあるぞ~♪」と思ったりする。
お前はミスタードーナツか。
今日は、直線道路で気持ちよくサビを歌えた。
だからだろうか。
なんだか週明けから仕事もうまく回り、いい一日だった。