小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

想像力の筋トレ。 229

ぼちぼち、また書き始めます。

教育現場では、「他者への想像力」ということがしばしば言われたりします。

ぼく自身、この言葉を使って子どもたちに話をしたこともあります。

「他者への想像力」がないばかりに、

思慮に欠けた言動で誰かを傷つけてしまうことがあるからです。

もちろん、子どもたちに限った話ではありません。

ぼくだって、他者への想像力の欠如で、

どこかの知らない誰かや知っている誰かを傷つけている可能性があります。

 

…そんなことを考えながら、いつものようにバイク通勤で職場へ向かっていました。

前方の信号が赤から青へ変わりました。

バイクのアクセルをひねり、スピードを上げていきます…

と思ったら、一台前を走るおばちゃんのバイクが異常に低速。

ぼくは、想定を超える遅さに、ひねったアクセルをゆるめ、

同時にブレーキをにぎって、スピードを落としました。

 

おばちゃんのバイクは一向にスピードが上がりません。

 

「おいおい…何やってんねん、おばちゃん…。なんでそんなとろとろ…」

 

 

はい、ストップ!!

 

 

ストップです。

一旦、落ち着きましょう。

 

危ない危ない。

ゆうてるそばから、他者への想像力が欠如するところでした。

ここでイライラしては、そのイライラから視野狭窄に陥り、

いつ何時事故を起こすか分かりません。

冷静に。

他者への想像力を。

 

こういうときは、「そもそも思考」です。

「おばちゃんが異常に低速でバイクを運転している」という事象を、

「そもそも思考」から見直してみましょう。

 

「そもそもおばちゃんが異常に低速でバイクを運転しているのはなぜ?」

 

はい、「問い」ができました。

「問い」があると、考えたくなるのが人の性。

考えることで、様々な推測が生まれ、

そのことによって、冷静さを取り戻すことができます。

 

まずは、観察です。

ぼくはバイクを運転しながら、おばちゃんを観察しました。(前を見ろ)

すると、あることに気づきました。

なんと、おばちゃんは手袋をしていなかったのです。

その気づきによって、ぼくの頭の中に一つの仮説が生まれました。

 

「おばちゃんは、手袋をしてなくて、スピードを上げると、寒すぎて手がかじかむから、スピードが上げられないのではないか。」

 

そうか、Don'tじゃなくて、Can'tなのか!

 

そう思うと、不思議なもので、私の心の中に、おばちゃんをいたわる気持ちが芽生えてきました。

 

でも、次の瞬間、我に返ります。

 

「ほな、手袋してきぃや。」

 

なるほど、おっしゃる通りです。

そう思うと、またイライラがふつふつと湧き上がってきました。

 

「天気予報見たら、今朝の気温ぐらいわかるやろ。ってか、玄関出た時点で、気温感じて、手袋つけ…」

 

 

はい、ストップです!!

 

またひっかかりかけましたね、他者への想像力欠如の罠に。

落ち着いてよく考えましょう。

「そもそも思考」です。

 

「そもそもおばちゃんは、この寒い中、なぜ手袋をせずにバイクを運転しているのだろうか?」

 

少しして、またもや私の中に一つの仮説が浮かび上がります。

 

「ひょっとして、家出た時は手袋してたんじゃないだろうか。けれど、ここまで運転してくる途中に、寒さに凍えて独りで泣きじゃくっている子どもを見つけて、その子に自分の手袋をあげたんじゃないだろうか。」

 

不思議です。

そう思った途端、先ほどぼくの中に湧き上がってきたおばちゃんへの温かい気持ちが戻ってきました。

 

そっか、そっか、そういうことやったんや。

おばちゃん、最高やな。

想像の中で、ぼくとおばちゃんはハイタッチを交わして、肩を組んでいました。

 

…と我に返った時、ぼくとおばちゃんのバイクは、信号のない交差点に差し掛かっていました。

 

次の瞬間、私はびっくりして、思わずブレーキをかけそうになりました。

 

おばちゃんがウインカーを出さずに、急に右折をしたからです。

 

「何やってんねん。危ないなあ!あんなもん、ウインカー出さんと曲が…」

 

はい、ストップで…いや、ストップちゃうわ!!

 

それは、おばちゃんが悪い。