小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

少年少女ではなくなった。 211

11月の朝の気温は、もう冬のそれで、まだ少し眠気の取れない私の頬を引き締めた。

その気温を甘く見積もった私は、バイクに乗ってからその身を切る寒さに少し後悔した。

もう一枚羽織ってくるんだったな。

肩にかけたウェアラブルスピーカーからは日食なつこの「少年少女ではなくなった」が流れている。

今日はやけにこの曲が刺さる。

 

鍵の開け方の分からない夢があったんだ

出会った頃には この手はまだ真っ白いまんまで

歩いていくうちにどこかで開けられるもんなんだって

未来の自分にひとまず答えをたくした

 

それは、少し前の自分自身だった。

漠然と「いい先生になりたい」と思い続けてきた。

その「いい」って何だ?

「子どもたちのために」と思って働いてきた。

それって本当に子どもたちのためになっているのか?

自分の承認欲求を満たすためだけのエゴなんじゃないのか?

 

道の景色が変わる日があると思っていた

今の自分と未来の自分は別物なんだって

いつかやってくるその日を ただただ待っていた

あの日の僕は僕のまんま 今日になってしまった

 

どこかで思っていた。

思考停止にも気づかず、それでも地道な努力を継続すれば、ある日自分の理想にたどり着いていると。

努力の方向性が、方法があっているかの検証もしないまま。

未来は、今という点を結んだ延長線上にしかないのに。

 

欲しかったものは思っていたほど集まっていなくて

変わるんだって意気込んでいた部分はそのまんまで

外れないよ 折り入って歩いていたはずの

道自体もなくなっていた

 

この夏、それをつきつけられた。

「向き合う」ことの本質と対峙した。

やってきた「つもり」だったこれまでの自分と向き合う痛みは心をえぐった。

ふり返って、確かにあると思っていた自分の道は、その輪郭をぼやけさせていた。

 

笑うだけが命じゃないこと

晴れ渡るだけが夜明けじゃないこと

知ったあたりにあなたも僕も

少年少女ではなくなった

 

自分と向き合うことの痛みはとても大きい。

誰だって自分正しいと思いたいし、これまでやってきたことが意味のあることだったんだってすがりたい。

でも、それじゃダメなのだ。

コンフォートゾーンを抜け出して、踏み出さなければ、つながらない未来への道がある。

 

叫ぶだけが勇気ではないこと

付き通すだけが正義ではないこと

知ったその向こう あなたも僕も

それでも捨てられない何かを知る

 

踏み出して、自分史上未踏の地を行くことは困難につぐ困難だ。

でも、そうやって向き合って、拾って、捨てて、そぎ落として、その先に見えるものもある。

 

傷ついたことは確かに多かったかもしれないけれど

無くすばっかじゃなかったはずだ

 

立ち尽くすだけが僕ではないこと

汚れようが正義を連れてゆくこと

知ってなお迷う どうしようもない僕らは

少年少女ではなくなった

少年少女ではなくなった

 

迷うことばかりだ。

正しさなんてどこにあるのか。

そんなものはない。

「問い」を常に自分の中に見つけろ。

自分にとっての「納得解」を探せ。

それでも迷って、悩んで、苦しむんだ。

でも、その先にはきっと希望があるんだ。

だから、止まれないんだ。

 

太陽が雲の隙間から少し顔を出した。

世界が明るくなった。

わずかに暖かさを感じる。

私はバイクのアクセルをひねり、スピードを上げる。