小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

learn × creation⑤ 168

learn × creation2日目。

2つ目に選んだのは、ラウンジでの講演、

 

「学習指導要領が変わるだけじゃない! 未来をたくましく生きるための子育てに変わる」

 

講演してくださったのは、東京都小金井市教育委員会教育長の大熊雅士さん。

開始に間に合わなかったので、序盤の話を聞けなかったのが残念。

 

話は主に「子どもたちの自己肯定感を高めるには?」ということがテーマだった。

え?演題と違うんじゃあ…と思ったが、

いやいや、こちらがきちんと読んでいなかっただけ。

そして、すごくいいお話が聞けた。

 

大熊さん曰く、

今の社会は「総相対化の世界」だという。

FacebookTwitterのイイねなどに表されるような、

巨大な情報のものさしが存在していて、

そのものさしに対して、

鈍感な子と敏感な子の二極化が進んでいる。

現代の子どもは、親自身より敏感にいろんなことを感じている。

でも、親自身も情報の波に飲みこまれている。

子どもも親も情報過多の毎日に振り回されている。

だから、そこから焦りや不安が生まれ、

心に余裕がない状態になり、

親も子どももどんどん自己肯定感を下げてしまう。

だからこそ、まずは認めることで、自己肯定感を育てていこうと。

そういう主旨で話は進んでいった。

 

「どうすれば、自己肯定感を育てることができるのか?」

この問いに対してパッと思い浮かんだのが、

その子のいいところを見つけてほめるというもの。

でも、実はこれは自己肯定感が低い子には、逆効果。

それは、ほめる側の自分に対する次への期待が見えるから。

いつかその期待に応えられなくなるだろう未来の自分を想像して、

苦しむことになるというのである。

確かに、自己肯定感が極端に低い子だと、

そうなるかもしれない。

成功体験をしても、

それを安易にほめることは、

次へのハードルを上げることにつながり、

それを続けていくと、いつか疲れて自己肯定感が低下する

そういう流れである。

 

では、改めて。

どうすれば自己肯定感を育てることができるのか。

大熊さんは、自己肯定感には、2種類あると話した。

一つは「根拠のある自己肯定感」

これは、他者と比べて得られる類のものである。

「テストで100点取った」とか、

「リレーで1位になった」とかである。

もう一つは、「根拠のない自己肯定感」である。

これは、基本的な自己肯定感であり、

存在そのもの受容をいう。

この根拠のない自己肯定感がなければ、

根拠のある自己肯定感は、効果を発揮しない。

根拠のない自己肯定感は、

周りの環境や他者と比べて、増減したりしない。

だからこそ、この根拠のない自己肯定感があると、

チャレンジしてみようという前向きな気持ちが生まれたり、

失敗しても、また次へ向かって行けるのである。

大事なのは、その人のい「今」をそのまま受け止める

存在受容だと。

 

では、その根拠のない自己肯定感を高めるにはどうすればいいのか。

まずは、ともに悩み、ともに歩んでいこうというスタンスでいることだ。

「教えてやろう」「説教してやろう」などという気持ちが、

少しでもあれば、

敏感な子どもたちは、途端に自分を閉ざしてしまうだろう。

それでは、いくら手を打っても、効果はない。

そうしたスタンスをベースにしたうえで、

まずは「感情を言語化する」ことが大事だと大熊さんは言う。

「感情を言語化する」というのは、

その子の「今」を認めるということである。

 

例えば、子どもが雨の日に廊下で走っていて、

スベッてこけけがをしてしまったとする。

 

「痛かったね。」(手当)→親と子の感情の共有

「今度は雨に日は走らないようにしようね!スベると、また、痛い痛いになっちゃうよ!」→規範の共有

「雨の日は走らないようにしよう!(だってあの痛い痛いの気持ちになるから)」→不快感の回避

 

親と子で感情の共有がされると、

その安心感から社会的つながりを希求するようになる。

それはいずれ、他者の気持ちを悟れる子へとつながっていく。

 

こうした自己肯定感を高めるためのアプローチの中で、

最も大切なのが、「笑顔」。

案外「当たり前じゃない?」と思われがちかもしれないが、

これを本当に心の底から意識して徹底しようと思うと、

なかなか難しいのではないだろうか。

人間は感情の生き物であるがゆえ、

そのコントロールもいつも一定にというわけにいかないからだ。

それでも「笑顔」の持つ存在受容のメッセージは抜群に強い。

そのことを忘れず、

普段から今まで以上に意識して、

「笑顔」で子どもたちと接し、

その自己肯定感を育てていけるようにしたいなと思った。

 

また、講演の最後には、

近くの人と3人組を組んで、

付箋に自分が最高だと思うほめ言葉を5枚書き、

お互いにロールプレイする時間があった。

最初は恥ずかしさもあったが、

ロールプレイと分かっていても、

言われてうれしい「笑顔」と「ほめ言葉」の効果は、

自分で体験して改めてその威力を痛感した。

「ほめ言葉」も普段から意識して集めていないと、

咄嗟の時に出てこない、と大熊さんは言う。

その通りだと思う。

まずは、自分自身が他者を認める言葉を、

より多く自分の中に持つことから始めようと思った。