小学校教員にょんの日々ログ

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21冊目「Appleのデジタル教育」 147

本年度21冊目の読了本はこちら。

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Appleのデジタル教育/ジョン・カウチ ジェイソン・タウン」

前回の読了本「『学校』をつくり直す」との共通点が非常に多く、

基本的に、アメリカの教育の話ではあるのだが、

アメリカの教育が抱える問題も、今の日本の教育が抱える問題も、

根っこの部分では一緒じゃないか、共通しているじゃないか、

と思わされた一冊だった。

そして、そうした日本の教育の問題とも通底するアメリカの教育を、

Appleは本気で変えようとしていた。

今から数十年前から、行動を起してきたということを知った。

そのことに、とても感銘を受けた。

今や知らない者のいないグローバル企業であるAppleが、

教育に対して、これだけ熱い想いを持って、

行動を続けてきたという事を知らなかった。

もちろん、その情熱に感動しただけで、本書は終わらない。

アメリカの過去の教育の歴史を紐解き、

現在のアメリカの教育が抱える問題の背景を明らかにし、

その上で、教育の目的を再認識し、

学習の定義や理想的な学習空間に必要なもの、

モチベーションの重要性など、

一つ一つのチャプターで丁寧に描かれていく。

そうした中で、私が特に感銘を受けたのが、

チャプター7から8で取り上げられていた

CBL」なるものだ。

これは、「Challenge-Based Learning」の頭文字をとったものだ。

日本語に直すと、「チャレンジ設定型学習」となる。

これが一体どういう学習なのかについては、本文の一部を引用したい。

 

CBLは疑問を発端とする学習モデルだ。個人またはグループで疑問の解明や解消に自らチャレンジすることで、その学習が 生徒自身に関係するものとなり、熱心に取り組むようになる。

(中略)

CBL車輪の再発明というよりも、PBLの最大の利点をベースにチャレンジを強調し、全体にテクノロジーを融合させたものだと思えばいい。

 

そう、CBLは、一見PBL(Project-Based Learning)と似ている。

プロジェクト設定型学習といわれるものだ。

生徒が何かをすることで、学習に必然性やモチベーションを持たせている点は、同じと言える。

ただ、CBLの方が、より児童主体で全てが進んでいく。

何に、どうチャレンジするのかは、子どもたちがすっかり決めるのである。

だからこその難しさもあるだろう。

チャレンジに値するほどの本質的な問いを立てることができるのかということだ。

しかし、私には、このCBLがどうしようもなく、魅力的に映った。

そして、このCBLは、前回読了した「『学校』をつくり直す」の中で提言されていた

「探求」と似ている。

偶然この2冊を連続で読んだことが非常に大きかった。

日本だけじゃない。アメリカもそうだ。

世界は今、CBLに代表されるような学習モデルの流れになりつつある。

いや、もうすでになっているのか。

日本だけが遅れているように感じるのは、気のせいではないだろう。

これからの予測困難な時代を生き抜く力を育むためには、

CBLや苫野さんのいうところの「探求」のような学習こそが必要なのではないか。

本書では、「『学校』をつくり直す」以上に、

そのあたりの具体的実践への言及が多く、

今の自分が受け持つ子どもたちに置き換えて、考えやすかった。

「学習の主体は、子どもたち」であるということは、

もうずいぶん前から言われていることだ。

しかし、本当の意味で主体的に学習できているかと言われれば、

全く不十分だと言わざるを得ない。

新学習指導要領でも、「主体的で対話的で深い学び」というキーワードが、

呪文のようにあちこちで聞こえてくる。

でも、真の意味で、その学習を成立させるのに、

現状の公教育のシステムでは、やりきれない部分がどうしても拭えないのではないか。

本書と「『学校』をつくり直す」を読んで、一層強く感じた。

しかし、じゃあ、国のシステムを変えるか?

じゃあ、今受け持っている子どもたちはどうする?

だから、結論としては、今の担任という立場で、

このCBLや探求についてもっと見識を深め、

その理論を実践に落とし込んでいくことだろう。

やってみなければわからない。

もうすぐ、1学期が終わる。

勝負は2学期からだ。

夏休みに、どれだけ準備ができるか。

わからない。

でも、やれるだけやってみよう。

そして、分析して、改善して、

小さな修正をくり返しながら、実践を積み重ねていこう。

そして、また理論に立ち返り、それを実践と照らし合わせよう。

そうやって、一歩ずつ。

それでいい。

踏み出すためのモチベーションも、きっかけも整った。

全ては、これからの未来を生きる子どもたちのために。