小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

答えはきっと奥の方。心のずっと奥の方。126

THE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」の歌詞を思い出していた。

 

 

「答えはきっと奥の方。心のずっと奥の方。」

 

 

 

昨日、クラスのある子の保護者の方に連絡を入れた。

様々な場面で一日活躍してくれたことを報告し、家でもほめてもらうためだ。

そのことを伝え終えると、保護者の方から切り出して、

別の話になった。

どうやら、家に帰って子どもが、学校で友だちに嫌なことをされた、

嫌なことを言われた、そんなことが続き、気になっていると言う。

話を丁寧に聞いて、そんなに気にしないようには言うが、

しょっちゅうそういうことを聞いていると、

「うちの子は学校でうまくやっていけているのか。」と不安になる。

でも、先生に相談しようとしても、本人は「いい。」と言うし、

私自身も「このぐらいのことで連絡するのもなあ。」と思ったりもする。

そんな思いを打ち明けてくださった。

 

話をお聞きしていて、保護者の方の抱えている現状が見えてきた。

本人は、友だちからの「チクったやろ。」という報復を恐れて、

先生には言いたくない。

だから、その不安や不満の解消の一歩として、お母さんに話す。

お母さんは、なんでも話したことを聞いて受け止めてくれるので、

本人は、ある程度、それですっきりして心を保っている。

一方、お母さんは、聞いた話で悶々とするも、

相談する術もなく、その我が子の負のオーラを一手に引き受けて疲れている。

そんな感じだった。

 

少し前まで、この手の話を聞くと、

私自身すごく落ち込むことが多かった。

「なんで自分はもっとしっかりと子どものことを見れないんだ。」

「私には、相談できるという安心感や信頼感がないんだな。」

とか、そんなことが頭の中をぐるぐるめぐって、

一人でネガティブループに陥ったりしていた。

本当にしょっちゅう。

 

でも、いつのころからだろうか。

そんなに落ち込まなくなった。

いい意味で開き直った部分が出てきたのかもしれない。

私という人間にできることなんてたかがしれている。

その中で、もがきながら、その時その時のベストを探して、

それを誠心誠意続けていくしかないんだ。

そんなシンプルな考えになって、ふっ切れたところがある。

私に与えられた時間やできることには限りがある。

人間みんな誰だってそうだ。

じゃあ、その時の自分の能力の限界を超え、

一人で処理できない案件が出てきたときには、どうすればいいのか。

簡単だ。他の人の力を借りればいい。

それは、保護者かもしれないし、同僚の先生かもしれないし、

クラスの他の子どもたちかもしれない。

適材適所。

それぞれの得意分野でタッグを組んで、

チームで目の前の問題に対する最適解をその都度導き出せればいい。

 

私が、今回の件で思ったことは、2点。

一つは、本人の学校での様子を今まで以上に気を付けて観察すること。

休み時間の様子はどうか?

友だちとのかかわりは?

保護者の話で名前が挙がった友だちとの関係は?

そういったことを普段から心に留めて観察する。

もちろん、肉体にも時間にも限界はあるので、

そこは可能な範囲でだ。

もう一つは、保護者の方とのコミュニケーションだ。

子どものストレスは今保護者が受け止めてくれている。

しかし、その保護者が悩みを共有する機会がない。

このままだと、保護者が日に日に疲弊していき、

どこかで臨界点を迎える。

そいうすれば、その爆発の矛先は、学校や、下手をすれば、

子どもにも向きかねない。

そうなってしまうと、関係の修復に時間を要し、

伝えたいこともなかなかスムーズに伝わらなくなる。

矛先が子どもに向きでもしたら、

子どもはもう安心して保護者に話をしなくなるだろう。

そうなると、今度は子どもの心が袋小路に追い詰められ、

逃げ場をなくし、壊れてしまう。

 

「健やかに成長していってほしい」という願いは学校も保護者も同じ。

だから、対立ではなく、タッグを。

それぞれの視点で見守っていくことの共有を。

そうして集めた情報から手立てを。

その地道な積み重ねが、きっと本人の成長をサポートすることになる。

 

 

そんな話を保護者の方に伝えた。

ありがたいことに、保護者の方は、電話口で、

「先生に話聞いてもらって、めっちゃくちゃ心軽くなりました!」

そう言ってくださった。

ありがとうございます。でも、ほんまに何もしてないです。

 

最近、コーチングの本を読んでいて思う。

答えは、すでにその人の中にある。

保護者の中にも、きっと、子どもの中にも。

だから、教師は「教えてあげる」や「提案してあげる」なんて、

傲慢なものではなく、

対話していく中で、その本来すでに持っている答えを「引き出す」

その手助けをする。

引き出した答えの実現に向け、背中をそっと押す。

そんな風に関われたらいいな。

と強く思う。

 

一度で、

短期間で、

劇的に改善することなんてないし、

あったとしたら、きっとそもそもそこまで難しい問題ではなかったのだろう。

時間をかけて、焦らず。

謙虚に、誠実に、一生懸命。

それだけ。

ただそれだけ。

しっかり対話しよう。

保護者とも、

子どもとも。