小学校教員にょんの日々ログ

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17冊目「世にも奇妙な君物語」 117

今年度17冊目の読了はこちら。

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「世にも奇妙な君物語/朝井リョウ

初めての朝井リョウ作品。

少し前に本屋に行くと、めちゃくちゃ平積みされていたので、

帯のこのシンプルな文句も相まって、購入してしまった。

ほかの本をほったらかして読み進めると、

サクサクと読めるので、あっという間に読み終わってしまった。

 

本作は、5つの短編からなる。

それぞれが独立して、一話完結型、

まさに世にも奇妙な物語のような構成になっている、

 

 

…と思ってました。

 

途中まで。はい。

まんまと騙されたと思ったのは、最後の5話を読んだときだ。

それまで、それぞれの短編を一話完結型だと思い込み、

その自分で思い込んだ型にいつの間にか話の方を当てはめて、

読み進めていた。

それも仕方のないことだと思う。

この小説は、一話完結型の短編の形をとっているだけではない。

読み手は、その背後に本家の世にも奇妙な物語を意識している。

いや、してしまう。

させられるようになっている。

構成で、文体で。

一話を読み始めた時から、その罠にまんまとハマっているわけだ。

しかし、それらは全て5話でつながるのだ。

読者はそこで初めてこの物語が一話完結ではないことを知る。

まんまと騙される。

そして、それだけに終わらないのがこの物語である。

最終話である5話の最後には、あっと驚くオチが待ち構えている。

帯の文句そのまんま。

小説全体の構造をごっそり転換する役割を担う5話だが、

それと同時に、一つの短編としても、しっかりと機能している。

 

作者があとがきで書いていたが、

まさに、本でしかできない「世にも奇妙な物語」といえる。

 

この衝撃は、読んでみないとわからない。

そして、読了すると、また1話から4話までの各短篇を読み返し、

あれやこれやの伏線を確認したくなってしまう。

 

いやー、お見事。

軽快で、痛快で、最後まで楽しく読める一冊だ。