小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

外食 with 両親。 113

ゴールデンウィーク、また空いてる日教えてな。」

 

母親からそう連絡があったのは、4月半ばのこと。

予定を調整して返事をし、夕食は5月3日に決まった。

おごってくれるらしい。

あちこち旅行に行ったお土産も渡さなければいけなかったので、

ひとまず、車で実家に寄って、

それから4人でバスに乗って、枚方市駅へ向かった。

予約してくれた店は、T-SITEの8階にあるイタリアンの店。

何度か8階には行ったことがあったが、その店は初めてだった。

「一緒に行くまで行かんといてや。」

母に、そうくぎを刺されていたこともある。

 

5時半からと少し早めの予約時刻だったが、きちんとお腹は空かせてきた。

店員に案内されて、店奥の角の席へ座った。

外には、少し強い風が吹いていた。

ひょっとすると、8階という高さもあるかもしれない。

テラス席で私たちより先にBBQをしいていた客の髪の毛が、

風に揺れていた。

 

外はまだ明るく、「日もずいぶん長くなったなあ。」と

季節の変化を感じる穏やかな夕暮れどき。

 

「もっとあっちの方の席の方が、眺め良かったかもなあ。」

母はそう言っていたが、十分いい眺めである。

市駅近辺でもひと際高いT-SITE。

周りを邪魔する高層ビルもほとんどない。

北の方には、淀川をはさんでその奥深く、

北摂山地の山々が横たわる姿がくっきりと見える。

 

ファーストドリンクをオーダーし、乾杯。

アヒージョやバーニャカウダ、生ハムなどを頼み、

それらをつまみにアルコールを飲みながら、会話を楽しんだ。

 

仕事の話、本の話、音楽の話、日常生活の話…。

話は尽きない。

結婚して実家を出て、もう8年目になる。

両親と会うのも、年に10回あるかないかぐらいだろうか。

年末年始や盆以外に、こうしてたまに一緒にご飯を食べる。

とても楽しい。

本もたくさん読んできたし、

いろいろな経験もしてきた。

さまざまな人にも出会ったし、

新しい世界も見てきた。

それでも、両親と会って話をすると、

すごく学ぶことが多い。

人として、

人生の先輩として、

先輩夫婦として。

両親が話すことは、

両親がその人生をかけて経験してきたことのエッセンスだ。

それは二人というフィルターを通して、表に出てくる。

二人は、当然この世に二人しかいない。

だから、そのフィルターを通して語られることは、

世界にここにしか存在しない。

肉親であり、先輩であり、そんな属性は唯一無二だ。

それは、どこの親にも当てはまることなのかもしれないが、

少なくとも私にとっては、それだけ価値のあることだ。

だがら、話していると、時間があっという間に過ぎていく。

 

この日も、気付けば日もすっかり落ち、二時間が経過しようとしていた。

まだまだ話したりないのは、私たちだけではなかった。

両親もそろって、

「場所変えてもう一軒行こうか。」と提案した。

その誘いを快諾し、店を出た。

 

行きと同じエスカレーターを今度は下っていく。

3階に着いたところで父が言う。

「あ、ちょっとええか。ロッキンオン買わなあかんねん。」

父は、昔バンドをやっていた。

音楽にはうるさい。

いまだに、たまに思い出したかのように、

LINEにYouTubeのURLだけ送られてきて、

開いてみると、おすすめのバンドだったなんてこともある。

そんな父が言う。

「ロッキンオン買わなあかんねん。」

一体、何をそんなに買いたい衝動に突き動かされているというのか。

たしかロッキンオンを定期購読しているようなことはなかったはずだ。

とすると、今月号の特集めあてか…?

3階でロッキンオン探しを手伝ったが、見当たらない。

しばらく探して、思い出した。

音楽系雑誌は、全て2階のレンタルコーナーに置かれていた。

そのことを父に伝え、2階へ向かう。

エスカレーターを降りて、右手を見ると、あった。

奥の雑誌コーナーの下段にロッキンオンジャパンは売られていた。

一足早く、その前にたどり着いた私は、表紙を見て悟った。

「ああ、それで買いたかったんか。」

ロッキンオンジャパンの今月号の表紙には、

欅坂46の不動のセンター、平手友梨奈のドアップが写っていたからだ。

父は、欅坂46にぞっこんだ。

特に、センター平手友梨奈の大ファンで、

実家に行くと、「てちてち」とうるさい。

そりゃあ、買いたいわけである。

「今月号には、てちのな、これまでの生い立ちとかが載ってんねん。」

ロッキンオンジャパンやで!?その表紙がてちやで!?買うやろ!」

大層な熱の入りようである。

前言を一部撤回させてもらう。

両親と会って話をすると、とても学ぶことが多い。

ただ、唯一、父が欅坂46について話すときは、

たいてい右から左に聞き流している。

いや、欅坂46が悪いわけでは断じてない。

むしろ好きだ。曲が好きだ。

でも、父ほどの熱量は持ち合わせていない。

それだけだ。

父はロッキンオンジャパンを買って、満足げな表情だ。

欅坂46の熱の入った話を聞くのはごめんだが、

そんな満足げな父の顔を見るのは悪くない。

 

そして、我が家恒例、二軒目と言えば。

 

もちろんカラオケである。

これは、大体毎回母発信である。

飲むと歌いたくなるようだ。

「ようだ」と言っているが、私もそのDNAは濃く受け継いでいる。

キャッチのお兄さんが声をかけてきて、渡りに船状態。

二つ返事で、ジャンカラへ向かった。

途中、「料金って10円ですか?」と、

父と二人でキャッチのお兄さんに絡みまくった。

あの時のお兄さん、ごめんなさい。

ジャンカラに着くと、受付で2時間利用の旨を伝え、

必要な情報やドリンクのオーダーをした。

さあ、部屋に向かおうかと受付を終わる寸前、父が言った。

 

「この機種って、King Gnuの白日って入ってる?」

 

 

なんで、今聞いた!?

 

ほんで、も一つ。

 

 

歌えんのか!?

 

びっくりするくらいいらん一言に笑うしかなかった。

絶対歌われへんやん。

どの角度からゆうてんねん。

大人しく、おやじギャグだけゆうてたらええものを、

たまにこうして

「ボケなのか、本気なのか、

いや、どっちの意図で発せられたにせよ、

周り困るけどね!」的な発言をするのが、父である。

 

ちょいちょいひっかかって、

スムーズとは言えない受付をようやく済ませ、

部屋に入った。

そこから約2時間、歌いまくった。

ハイライトは色々とあるが、

それら一つずつについて、詳しく書くと、

多分1万字くらいになるし、

そもそもそんな体力はないし、

明日から仕事やし、

ってなわけで、ダイジェストで簡単に見出しでまとめるとする。

 

・父の欅坂46「ガラスを割れ」、恐怖の「僕は嫌だ!」

・母、歌えないエドシーランの「Shape Of You」を入れる強心臓

吉幾三の「酒よ」の本人映像フィギュア説

・息子の点数を越えられない父

・歌う母の後頭部を触りまくって邪魔する父

 

こうして2時間たっぷりと歌い倒して、この日は実家に泊まった。

翌日朝ご飯を食べて、家に帰った。

 

次はいつだろう。

夏頃だろうか。

次のカラオケでは、父が「白日」を歌う姿を楽しみにしておこう。

ゴールデンウィークにまた一ついい思い出ができた。