前提として。 107
先週、家庭科で調理実習に向けて、
「目指せ、身支度マスター~超えろ、3分の壁~」という授業をした。
大げさに言っているが、
ようは、エプロンと三角巾、
自分でテキパキ付けられるようになろうねってことである。
この身支度に手間取ると、予定がずるずると後ろにずれ込み、
調理時間を圧迫するからである。
各自家からエプロンと三角巾を持ってきてもらい、
ストップウォッチで時間を計りながら、
3分以内に身支度を終えることを目指して、
互いにアドバイスをしあいながら、練習をしてもらった。
そんな中、うちのクラスのある男の子。
一人黙々とエプロンのひもを後ろ手で
蝶々結びにしようと励むも、なかなかうまくいかず。
涙腺がかなり緩い子で、目にはもう涙がにじんでいた。
どうするかな?としばらく様子を見ていると、
試行錯誤の末、
「わかった!!いいこと思いついた!!!!」
と大声で言い、なにやらごそごそ動き出した。
「なるほど、そういうことか。」
彼を見ていて、何をしようとしているのかが分かった。
首だけ通したエプロンの前後を180度回転させ、
後ろ手でくくろうとしていたひもの部分を
自分の体の前に持ってきたのである。
なるほど、考えたものである。
うまく身支度できない原因は、後ろ手でひもをくくろうとすること、
ならば、後ろ手の状況を変えてしまえばいい。
彼の目は、がぜん輝き出して、
思いついたアイデアを形にしようと、
猛烈に体をもぞもぞさせ、エプロンの回転に成功。
さあ、準備は整った。
後は、体の前で、悠々と蝶々結びをし、
その後、またぐるりとエプロンを元通り回転させれば、
準備完了である。
彼の歴史的快挙の瞬間を共に喜ぼうと、
じっと彼の所作を見つけた。
…。
……。
………。
いや、そもそも蝶々結びできへんのんかーい!!
吉本新喜劇バリにこけそうになりました。
彼の身支度3分の壁はまだまだ遠そうです。