小学校教員にょんの日々ログ

毎日の出来事や考え、思ったことなどとにかくアウトプット!

梅干しの中の中。 72

昼ごはんの弁当に梅干しが入っていた。

本格的なやつじゃなくて、カリカリ梅の親戚みたいなやつ。

弁当屋さんの白ご飯の真ん中に鎮座してる風のやつ。

かなり小ぶりだった。

直径1㎝ってところだ。

種も一緒に噛んでしまわないように、

慎重に前歯でネズミのよう

…いや、ハムスターのように(かわいい方に言い換えるな)かじった。

 

カリッ。

カリッ。

ガリッ。

 

あ、やってしまった。

あんなけ細心の注意を払ってたはずやのに。(どこが)

 

口をもごもごさせ、梅干しの種だけ口から出す。

すると、口の中にナッツのようなものを見つけた。

 

 

あ、天神さんや。

 

 

そういえば久しくお目にかかっていなかった。

梅干しを食べる機会はあったが、天神さんにまで気が回っていなかった。

 

 

みなさんは、天神さんをご存じだろうか。

梅干しの種のかたい殻を割ると

中から出てくるナッツのような物体だ。

このナッツのようなものを「天神さん」という。

 

「という」と言っても、私もそんな呼び名があることを知ったのは、

大学生のころだった。

当時入っていたサークルの後輩と、ご飯を食べに行った時のことだ。

何を頼んだか記憶は定かではないが、

とにかく頼んだメニューの中に、梅干しがあった。

黙々と各自頼んだ食事を済ませて一服していると、

隣の後輩が、私の皿にちんまりと転がっている梅干しの種を見て言った。

 

「え、にょんさん、天神さん食べないんすか?」

 

何それ。

こわいこわい。

何でいきなり神様の名前なんか持ち出しちゃってんの。

君ってそういうあれやったん。(そういうあれて)

私は、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をした。

それを見て後輩はうろたえた。

 

「え、にょんさん、天神さん知らないんすか?」

 

うろたえる後輩を見て、うろたえた。

いやいや、何言ってんの。

知らないんすかも何も、話が全く見えへんねんけど。

 

「何、その、天神さん言うやつは。」

 

気を取り直して聞くと、

「梅干しの種割ったら、中にナッツみたいなの入ってるでしょ。それです。」

 

いやいや、「でしょ。」って、その言い方。

さも、「梅干しの種って割って中身取り出しますよね?普通。」

みたいな感覚。

自分の常識は、相手の非常識やってことをよく覚えておけぇい!

俺は大阪出身や!そんなもん知らん。

いまだかつて聞いたことすらないわ!

後輩よ、お前、地元はどこな!?

 

あ、大阪?

わお、同郷。

 

こんな身近でカルチャーショック。

 

そんなわけで、後輩の話を聞いて、

天神さんの存在を知った私だった。

 

それからというもの、「天神さん」という響きがやけに気に入ってしまって、

会う友だち会う友だち、飯食いに行って梅干しが出てくると、

「天神さん食べへんの?」と聞きまくった時期があった。

食べないのかが気になるのでは全くなく、

ただただ「天神さん」というパワーワードを言いたいだけ。

そんなお年頃。

 

 

あれから、13年。

久しぶりに、天神さんのことを思い出した今日の昼ごはん。

すると、今まで抑えられていたのか、

私の中の「天神さんて言いたい病」が発症した。

 

周りの同僚の先生に聞きまくってしまった。

 

「え、先生、天神さん食べないんですか?」と。

 

みんな訝しげな顔をして、

「天神さん」の存在を知る先生は一人もいなかった。

ひょっとして、そんなメジャーではないの?

 

家に帰ってきた私は、ネットで「天神さん」と検索ワードを入れ、

調べてみた。

 

出た。

 

昔、菅原道真(天神様)が梅干しが好きだったという話があり、

そこから転じて、当時の庶民の間で

梅干しの種もありがたや~ということで、

梅干しの種の中にあるナッツ風のやつのことを、

いつしか「天神さん」と呼ぶようになったのだとか。

 

まさか、菅原道真なんて大物が裏で糸を引いていたなんて。(糸は引いてない)

 

そして、この天神さん、漬けた梅(つまり梅干し)のものだと、

ものすごく栄養価が高いのだそう。

どんな栄養かは割愛するが、

とにかく、みなさん。

 

だまされたと思って、一度食べてみてください。

 

 

 

 

 

言うほどおいしいわけでもないですから。

(おいしないんかーい!)