恵方巻 ３５
少し前のことだが、
2月3日、以前行った旅行のお土産をたまたまタイミングがあったので、
実家に渡しに行くことになった。
LINEで「何時に来る？」などとやり取りしていると、
「今日、夕方来るんやったら、晩御飯どうする？一緒に食べるなら、
今買い物来てるから恵方巻、あんたらの分も買っとくけど？」
と連絡が来た。
それならば、ということで買っておいてもらうことにした。
夕方、実家へ向かった。
しばらく近況報告やら雑談をして、晩御飯を食べることになった。
食卓には様々な料理が並び、その中心に鎮座するように、
ドンと恵方巻が置かれた。
なかなかのサイズ。一人一本。
今年の方角、東北東を確認する。
「いただきます。」をして、黙って恵方巻にかじりつく。
そこで、ふと…。
あれ？これって、一本丸々黙って食べるルールやっけ？
それとも、一口だけやっけ？
久しく実家で恵方巻を食べていないので、わからない。
え、どっちやったっけ？
と聞こうにも、口の中には恵方巻。
飲み込んだとて、これもし、一本丸々ルールやったとしたら、
「どっちやっけ？」って途中で聞いた時点で、俺アウトやん。
えー、確認しとけば良かった！
どうしよう、このままそわそわしたまま、一本食べ切るか！？
いや、これだいぶでかいから、一本食べ切るの結構時間かかるぞ！？
どうする！？
おかんを見る。
無言で恵方巻を頬張るその横顔からは、何の感情も読み取れない。
位置的に、おとんは後頭部しか見えない。
んー、仕方ない。一本食べ切るか。
そう決意したその時だった。
突然、おとんがぐるっと体の向きを変え、
私の方へ向いた。
そして、ぽつり。
「ああーしんど。もうこんぐらいでええわ。」
何それー！？
全然恵方巻に対する信仰薄いやん！！！
昔って「もっとこうせなあかん」みたいな感じじゃなかった！？
で、「こんぐらいでええわ。」ってことは、
本来は一本丸々って流れだったのね！？
何か悶々としながら無言で頬張ってた自分があほらしくなりました。
今度からは、一口だけ黙って、あとはワイワイ食べるとします。
まあ、その時の気分によってコロコロ変わる気もするけど。
とにかく、いい一年にするのは、
恵方巻ではなく、自分次第や！！
のりやサーモンやお米なんぞに、今年一年を左右されてたまるかーっ！！
